8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/26(水) 23:50:44.34 ID:incPBixuo
昨日に続いて今朝も早朝に目を覚ませてしまった。重苦しい気分で目を覚ました僕は傍
らで抱きついて寝入っている妹を見てぎょっとした。
何だ、これは。
妹は僕の脇に横たわってぐっすりと熟睡していた。さっき感じた重苦しさは昨日妹に嫌
がらせをされた精神的なものではないかと思っていたのだけど、実はベッドの中で妹の体
重支えていた身体的な重苦しさなのかもしれなかった。
妹の寝顔は彼女のいつものこいつの酷い態度と異なって子どもっぽいものだった。昨日
こいつの部屋で覗いた妹の表情と同じだった。
何で妹が僕のベッドにいて僕に抱きついているのかはわからない。でもこのままこいつ
が目を覚ませば自分の行為はさておいて、僕に無理矢理レイプされかかったくらいのこと
を両親に言いかねない。ひょっとしたらそのためにわざと僕のベッドに入ってきたのかも
しれない。
僕は妹を起こさないよう極力そっと自分のベッドから抜け出した。そして、そのまま着
替えと学校に持っていくカバンだけ持ってリビングに向った。
やはり両親は昨晩は帰宅していないようだった。僕は朝食もコーヒーも全て省略し、急
いで制服に着替えて家を出た。
何とか妹の罠から脱出することができた。駅に向かっているとようやく僕は緊張から開
放されるのを感じた。
妹の理不尽な態度に酷い目に会ったのこれが初めてではないけど、ここまで直接的な嫌
がらせをされたのは初めてだった。でも僕は幸いにもその罠にかからずに済んだのだった。
僕が妹のことを考えながら駅前の高架下を通り過ぎようとした時、誰かに声をかけられ
た。
「あの・・・・・・おはようございます」
僕はその声の方に振り向いた。昨日出会った所に真っ直ぐに立って僕に声をかけたのは、
二度と会うことがないだろうと思っていた昨日の少女だった。
突然のことに声を失っていると彼女は僕の方に寄って来て言った。
「お会いできて良かったです。会えないんじゃないかと思って心配してました」
彼女は僕の方を見て微笑んだ。
「ああ、偶然だね」
その時僕は彼女に会えたことに驚いて呆然としていたのだけど何とか間抜な返事をよう
やく口にすることができた。
「偶然じゃないんです」
相変わらず僕に微笑みかけながら彼女は僕の言葉を否定した。
「昨日はちょっと急いでいてちゃんとお礼を言えなくて」
「お礼って・・・・・・傘に入れただけだよ」
「どうしようかと思って困っていた時に、傘に入らないって自然に声をかけてくれて本当
に嬉しかったんです。でもあの時は何か照れちゃってずっと黙ったままだったし。だから
偶然じゃないんです。ひょっとして同じ時間にここにいればまたお会いできるんじゃない
かと思って」
「じゃあ、わざわざ僕を待っていてくれたの?」
これは恋愛感情ではないかもしれない。でも一度だけそれも十分程度傘に入れた男に会
うためにここまでする必要なんてあるのだろうか。
「はい。無駄かもしれないと思ったんですけど、お会いできて良かったです」
彼女は頭を下げた。「昨日は本当にありがとうございました」
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