31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/29(土) 12:04:15.33 ID:L4/wSLr5o
「おーい、音葉さーん、おーとーはーさーんっ」
いきなり意識が戻ると、目の前には李衣菜さんの顔が見えた。
「オイだりー、音葉は具合悪そうなのに扱いが荒っぽくないか?」
「あ……李衣菜さんに、夏樹さん……?」
「おーよかった、アタマはマトモそうだ。
いやー、ヘッドホン着けながらすごいことになってたから、心配しちゃってさ」
夏樹さんは、私がつけていたヘッドホンを手に持っていた。
「何か、すごいものでも聞いてたんですか?」
「え、いやその、あの……ちょ、ちょっといいかしら……」
私は、あの人の声が流しっぱなしだと思って、慌ててプレイヤーを手に取る。
プレイヤーは自動再生で、とっくに別の曲を流していた。
「いやいや、普通に体調が悪いんだろ。どんなの聞いたらあんなになるんだって」
「そ、その、あんなって……」
「音葉さん! どんな感じだったんですか? ロックでしたか!?」
「あ、その……聞いてて、紫のもやもやっとしたのが――あっ」
私は、昔『音に色がついている』と言って変な顔されたのを、
よりにもよって口走ってしまった直後に思い出した。
こんな返事したら、完全に変な人扱いされちゃう……。
二人は一瞬驚いた後、顔を見合わせて、
「へーえ? ヘッドホンでもこんなデリケートなシロモノ、アタシ使ったことないけど、
もしかして……なぁ、後でこれ貸してくれないか? ほんの少しでいいから」
「え、なんと音葉さんにロックの素質が!? わ、私のギター触ってみませんか?」
「本当に素質があったら、それかじられたり燃やされたりするかもな」
「あっ……そ、それは、ダメですっ!」
とりあえず、ヘッドホンを外してくれたのが、たまたまこの二人で良かったわ……。
これがあの人だったら、どうなってたか、知れたものじゃないから。
(おしまい)
46Res/36.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。