過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/03(水) 22:34:23.69 ID:dm2TomSio

「わあ……広いですね!」

部屋の中央で立ち止まり、中を見渡しながら嘆声を漏らす舞園さん。隣に立つ僕も同じように、ただただ感心するしかなかった。
――寄宿舎の部屋の中は、一人用だとはとても思えない程の広さを有していた。実家の部屋の二倍はある気が……いや、下手したらそれ以上かもしれない。
これくらい広いと、大人数でも余裕でわいわい騒げちゃいそうだな……。これまで散々驚かされてきたけど、新しい所に来る度にそうせずにはいられない。

「すごいね。一人でこんなに広い部屋を使えるなんて……」
「それでいて無料なんですもんね。本当にいいんでしょうか……」

部屋の中には入口付近のクローゼットを始め、純白のシーツが敷かれたふかふかのベッド、複数人でも利用出来そうな程大きい作業机。
それから椅子が二脚添えられてある円形のハイテーブル、縦横二列で計四列の横に長い収納棚、専用の台に設置された高級感溢れるテレビ……など、様々な家具が備えつけられてある。
収納棚の上には制服や体操服に教科書類が、ハイテーブルの側には複数のダンボール箱が置かれていた。あのダンボール箱の中に、僕が持ち込んだ物の数々が収められているはずだ。
持っていたルームキーや配布された物達を、ハイテーブルの上に置く。色々見て回ろうという事で、僕達は手始めにベッドに向かい、シーツ越しにマットレスを触ってみた。

「わ、ふかふかですね。とっても弾力があります」
「本当だね……すごく寝心地良さそう」
「これなら毎日安眠出来そうですね。あの、良かったら座ってみてもいいですか?」
「も、もちろん」

舞園さんがスカートを両手で抑えながら、そっとベッドの上に腰を下ろす。
……まだ一度も使ってないとは言え、自分のベッドに舞園さんが座っているんだと考えると、妙にどきどきしてしまう。ただでさえ、部屋に二人きりな訳だし……。
自分だけ立ってるのも何だと思い、僕も少し距離を空けて隣に座った。自然と上がる心拍数を感じながら、ベッドに手を沈めて柔らかい弾力を味わう。

「ふふっ、座ってみるとふかふかなのがより実感出来ますね」
「うん」

こんなに柔らかいベッドで寝たのは、せいぜい家族旅行の時くらいだ。そんなベッドを、これからは毎日使う事が出来る。感動モノだけど、何だか恐れ多いな……。

「そう言えば苗木君、今日は随分と早起きでしたよね。普段も朝起きるのは早い方なんですか?」
「うーん……普通、かな? 早すぎず遅すぎずって感じだね。一応、早く起きる事も出来るけど……」

再会したあの時、舞園さんは校舎側からホールに向かってきた僕を不思議に思っていたらしい。だから早く起きて五十分も前に集合した事、暫く校内見学をしていた事なんかを教室で話したんだ。
そしたら石丸君の耳にも入ったようで、やたらと悔しがってたな……。何でも僕を除けば一番早く来ていたらしく、こだわる辺り流石は『超高校級の風紀委員』といった所だろうか。

「舞園さんはやっぱり早い方、だよね?」
「そうですね。お仕事の関係もありますけど、小さい頃からの習慣が染みついて、早く起きるのが当たり前になりました。ふふ……もし起きる時間が重なったら、苗木君と一緒に朝ご飯を食べられそうですね」
「そ、そうだね。だったら僕、毎日早めに起きようかな……」
「え、本当ですか?」
「うん。出来たら、舞園さんと一緒に食べたいし……」
「わあ……ありがとう御座います! それなら、今日のお昼も一緒に食べましょう?」
「う、うん。喜んで」
「うふふ……苗木君と一緒のご飯、楽しみです」

僕もすごく楽しみだ。中学の時は一緒に昼食を食べるなんてとても考えられなかったけど、これからは簡単に……それも朝食だって一緒に食べられる。
再会してから舞園さんとずっと一緒だし、僕、今すごく幸せ……。


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