19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/03(水) 22:37:11.47 ID:dm2TomSio
そんな風に内心ほわほわと気分を浮き立たせながら、僕達は次に作業机の方へと移動した。
つやつやした表面を撫でてみると、触り心地の良さが掌に伝わる。
「ベッドもそうですけど、この机も大きいですよね。一人用だとは思えません」
「これだけ大きいと、広いスペースが必要な作業でも困らないね」
まあ、僕はそんな作業には縁がないけど……作家の山田君や腐川さんなら、やっぱり重宝するのかな?
そう言えば、部屋で勉強をする時はこの机を使う事になるのか。こんなに大きい机を使えるんだから、勉強だってぐんとやる気が……出るなんて事は、もちろんない。
机の引き出しの中はと言うと、当然何も入っておらず大半は空っぽだ。ただ説明された通り、下段の大きめの引き出しの中には、絆創膏や消毒液などと言った医療道具が豊富に揃っていた。
一人で出来る応急手当程度なら、わざわざ医務室に行く必要はないという訳だ。
「これなら、お部屋で転んじゃっても大丈夫ですね?」
「ま、舞園さん……」
「ふふっ、冗談ですよー」
流石の僕でも、部屋で転びはしないと思うけど……まあ、一応気をつけておいた方がいいか。
医療道具は他にも体温計や冷却シートがあり、これなら風邪を引いた時にも対処出来そうだ。僕は風邪をひき易い体質だし、それなりにお世話になると思う……。
次に僕達が向かったのは、専用の台に設置された高級そうなテレビだ。大画面で薄型の、いかにも値段の張りそうな物。
これでゲームをしたら迫力ありそうだな……。
「随分高そうなテレビですよね。お幾らするんでしょう……」
「うーん……テレビの値段なんて詳しく知らないけど、五万は越えてるとか? いや、下手したら十万行ったりして……」
一体、僕のお小遣いの何ヶ月分なんだろうか。舞園さんは年収とかすごそうだから、この程度の物は余裕で買えるだろうけど……。
とは言え舞園さんの性格上、お金遣いが荒いなんて事は全くないと思う。やっぱり貯金に回したり、お家に入れてそうなイメージだ。
「万が一壊しちゃったら、罪悪感がすごそうですね」
「な、何かそう言われると怖くなってきたよ……」
「やだ、別にそんな心配する事ないじゃないですか。倒れ易い訳でもないんですから」
「まあ、そうなんだけど……」
でも基本不運な僕の事だから、その万が一が有り得ないと言い切れないのが怖い。このテレビを扱う時はなるべく慎重になろう……。
試しにリモコンで電源を入れてみると、朝のニュースが画面に映った。よくよく考えたら、この大画面でテレビの舞園さんを見られるんだよな……楽しみだ。
目の前で見る本物はやっぱり格別だけど、テレビ越しに活躍する舞園さんだってとても魅力的だし。
テレビの前から移動して、次にハイテーブルの前にやってきた。作業机と同じく表面には光沢が走っていて、ついつい触ってしまう。
「椅子が二脚あるのは、やっぱり来客用の為なんだろうね」
「そうだと思います。お部屋を見て回った後は、ここでお話の続きをしましょうか?」
「うん。そうしよっか」
もちろん、舞園さんの部屋にも同じ物があるんだよな。遊びに行ったら、そこで話を弾ませる事になるんだろうか。
でも、やっぱり緊張するだろうから……何か、変に畏まっちゃいそうだ。椅子に座って固まる自分が容易に想像出来て情けない……。
「えっと……このダンボール箱の中に、苗木君の持ち込んだ物が入ってるんですよね?」
「そうだよ。多分、舞園さんの部屋もテーブルの側に置いてあるんだろうね」
「きっとそうでしょうね。出来たら今日中に整理したい所です」
僕も、整理はなるべく早い内に済ませたい。舞園さんが次に遊びにきた時にまだ段ボールが置いたままとか、想像するだけでかっこ悪いし……。
それにしても……舞園さんの持ち込み品か。何があるんだろう、すごく気になる。でも、女の子の持ち込み品を詮索するのはやっぱり良くないよな……。
「…………」
ただ、ふと横を見てみると、舞園さんはダンボール箱をじーっと見下ろしていた。……もしかして、舞園さんも僕の持ち込み品が気になるとか?
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