過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/05(金) 00:32:41.94 ID:s6SZLq9Ao

「運動会も懐かしいですね。苗木君とは三年の時同じチームでしたよね」
「うん。出来たら三年間、ずっと同じチームが良かったけど……」

玉投げ、障害物競争、騎馬戦、大玉運び……学校中の生徒達が様々な競技で競い合っている運動会の光景も、多く写真に収められている。
舞園さんも当然映っていて、白い太股がより露わになった体操服姿は……その、見る度にどうしても目が行ってしまう。
運動会の時は、多くの男子が体操服姿の舞園さんに見惚れてたっけ……。恥ずかしながら、僕もその一人だ。

「でも私、一年や二年の時も苗木君を応援していたんですよ。名前を呼んでいた訳じゃなかったので、相手チームを応援してるってバレたりもしませんでした」
「あ、ありがとう……応援、してくれてたんだ」

舞園さんが『頑張れー!』って叫んでるのが聞こえた時は何度もあったけど、あの中に僕に向けられていた応援もあったって事だよな。嬉しい……。

「苗木君の出番はなるべく見逃さないようにしてましたよ。運動会は一日にいっぱい苗木君を見る事が出来たので、毎年楽しみにしてました」
「まあ、活躍は全然してないんだけどね……。舞園さんと同じチームになった三年の時とか、寧ろ転けてビリになって、足を引っ張っちゃったし……」
「あ、それって徒競争の時ですよね?」
「う、うん。やっぱりあれも見られてたんだ」

三年の時の徒競争では半分くらい走った後、バランスを崩して勢いよく転んじゃったんだよな。全校生徒と先生達、それに生徒の家族も見ている中で転ぶのは、それはもう恥ずかしかった。
舞園さんにだって見られてたかもしれなかったし、穴があったら入りたいくらいだった。結果、やっぱり見られてた事がたった今判明してしまった訳だけど……。思い返すと改めて恥ずかしくなってきた。

「転んだ際、膝を擦り剥いてましたよね? 痛そうでした」
「はは、言う程じゃなかったけどね。擦り剥いたっていっても少しだし」
「でも、心配していたんですよ? 苗木君、怪我をしたのにその後の競技も参加してたから……」
「それはほら、怪我をしたからって、僕だけ休む訳にもいかなかったから……。幸い、他に残ってた競技は何とかなる物ばかりだったしね。まあ、流石に騎馬戦は無理だったけど……」
「……うふふ。苗木君って、責任感が強いんですね」
「べ、別にそんな事は……」
「謙遜する事ないですよ。あの時鶴を逃がしてあげたのだって、最後までちゃんとやり遂げたのは、責任感が強かったからじゃないですか? それって、素敵な事だと思います」
「あ、ありがとう」

照れ臭さに、僕はぽりぽりと頬を掻く。……舞園さんに素敵って言われちゃった。どうしよう、嬉しすぎてニヤニヤが抑え切れない……。

「そう言えば、これからは体育だって一緒に受けられるんですよね。楽しみですね」
「う、うん」

今まで舞園さんと一緒に受けた事は当然なかったし、確かに楽しみだ。
今までは遠目にしか見られなかった体操服姿を、間近で見る事が……い、いや、もちろん一緒に授業が受けられる事自体も、純粋に楽しみだけど……。

それから、残りの写真も和気藹々と一緒に眺めていく。今日友達になったばかりとは思えない程仲良く、それでいてどこか良い雰囲気を漂わせながら、僕達は一緒にアルバム鑑賞を楽しんだ。
その時間は今までの人生で一番幸せと言ってもいい、正に至福の一時だったと思う。
やがて全ての写真を見終わると、舞園さんはアルバムをパタンと閉じた。



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