過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/05(金) 00:03:55.47 ID:s6SZLq9Ao

その写真の隣には、同級生達が文化祭で楽しむ姿が何枚も貼られている。舞園さんもそこに視線を移したようで、懐かしむように口にした。

「楽しかったですよね、文化祭。毎年、苗木君と話す機会を窺ってました」
「文化祭でも?」
「はい。苗木君のクラスって確か、一年の時はフランクフルト、二年の時はチョコバナナ、三年の時は焼きそば……でしたよね?」
「えっと、確かそうだったね。僕も毎年店番してたよ」
「毎年してたんですね……私が苗木君が店番をすると知ったのは、二年の時だけでした。それでも、毎年二組のお店に窺ってたんですよ。もしちょうど苗木君が店番をしてたら、話しかけるチャンスでしたから……。でも、それも結局叶わなかったんです」
「そうだったんだ……」

実は僕も、もしかしたら舞園さんが買いに来るかもしれないって、毎年ほんの少しとは言え期待していた。
結局来なくて、店番が終わる度に残念に思ってたんだけど……舞園さん、僕のクラスの店に来てくれてたんだ。

「それなら、もうちょっと長く店番をしておけばよかったね。そしたら舞園さんと話せてたかも……」
「そうかもしれませんね……苗木君の作った料理、食べてみたかったです。あ、ちなみに私達のクラスは何を出してたか、覚えてますか?」
「えっと……一年の時はフルーツポンチ、二年の時はたこ焼き、三年の時はクレープじゃなかった?」
「はい、その通りです! 実は、私も毎年店番をしていたんですよ。苗木君、四組のお店には来てくれてました? 私は見かけませんでしたけど……」
「その……僕も、舞園さんが店番の時に行ってみてはいたんだ。舞園さんが店番をしてる時は皆騒いでたから、知る事自体は簡単だったし。ただ、長蛇の列になっててとても買えそうになかったから、早々に諦めちゃって……」

あれ、ほとんど舞園さん目当てだったんだろうな。かくいう僕もそのつもりだったから、人の事は全く言えないけど……。

「そうだったんですね……苗木君にも食べて欲しかったです」
「うん……」

……けどまあ、売り子姿の舞園さんが見れただけでも良かったけど。舞園さんは店番以外に売り子もしていたんだ。
少しふりふりした感じの衣装を着た、舞園さんの売り子姿。あんまり可愛いもんだから、少しの間友達と見惚れてたっけ……。
あの衣装を着て呼び掛ける舞園さんの集客力は、それはもうすさまじかった。

「そう言えば、舞園さんって料理は得意な方なんだよね?」
「はい、一応そうですけど……苗木君、知ってたんですか?」
「うん。ほら、料理番組に出てた時に言ってたよね? 子供の頃からお父さんに作ってあげてたから、レパートリーもそれなりにあるとか……」
「わあ、料理番組も見てくれてたんですね! 嬉しいです」
「アイドル活動を続けながら料理も作ってたんだから、すごいよね……。ちなみに、得意料理とかはあるの?」
「はいっ! ラー油ですっ!」
「調味料!?」
「うふふ……なーんて、冗談ですよ」
「な、何だ……」

舞園さんは悪戯にくすくすと笑う。冗談か……思わずツッコんでしまった。

「取り分け得意、って言える物は残念ながらないんですよね。お父さんはよく肉じゃがを好んでいたので、それを作る事は多かったですけど」
「肉じゃが……」

なるほど、定番だな。女の子に作ってもらいたい料理ランキングで、度々一位になるメニューだ。
舞園さんの作る肉じゃが、もし何かしら機会があったら食べてみたい……。

「苗木君は料理とかするんですか?」
「いや、僕は調理実習以外でした事は……。家では食器を運んだりはしてたけど、料理は母さんとこまるの担当だったね」
「あ、こまるちゃんも料理するんですね」
「手伝う程度だけどね。そう言えば、僕が希望ヶ峰学園に行ったら一人分減って楽になるから、今まで以上に料理頑張るーとか言ってたような……薄情な奴だよ」
「ふふ、冗談だったんじゃないですか?」
「どうだろ……分かんないや」

まあ、上手くなるのに越した事はないな。上達したあいつの料理も、何だかんだで食べてみたい。……上達出来るのかどうかは別として。



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