34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:01:23.41 ID:c4r4o16co
「苗木君、よかったら一緒に写真を撮りませんか?」
「写真?」
「せっかくこうして仲良くなれたんですし、記念に撮っておきたいなと思って。それで、その写真を苗木君にも送ろうかと……どうですか?」
「なるほど……うん、もちろん構わないよ。舞園さんと一緒に映った写真、僕も欲しいし……」
「じゃあ撮りましょう! ちょっと待ってて下さいね」
カメラを起動させるんだろう、舞園さんは携帯を操作し始める。……一緒に撮るって、つまりツーショットって事だよな。教室で撮った写真も舞園さんは隣にいたけど、ツーショットとなると全然違う。
こうしてずっと二人でいる時点でそうだけど、今の僕って、相当羨ましい立場にいるんだよな……。
そんな事を考えている内に、舞園さんは携帯を持っている方の腕をぴんと前に伸ばした。カメラモードになった画面に、僕達の姿が映し出される。
ただ、お互いに少し見切れてしまっていた。
「んー……もっと寄らないと駄目みたいですね。ちょっと失礼します」
「え?」
と、僕がまともに反応をする間もなく――何と舞園さんは、いきなり僕との距離を更に詰めた。
(わ、わあっ……!)
空いていた隙間は完全に埋まり、お互いの肩と腕がぎゅうぎゅうと密着する。ち、近い。アルバムを見てる時でも充分近かったのに、今はくっついて……!
「ま、舞園さん。その、近すぎるんじゃ……」
「だって、こうしないと一緒に撮れませんよ?」
「そ、それはそうなんだけど……」
でも、僕の心臓はとんでもないくらいバクバクしている。こんなにどきどきしてるの、生まれて初めてかもしれない……。
「……よし、これなら大丈夫そうです。苗木君、お顔を少し近づけてもらってもいいですか?」
「へ? わ、分かった……」
顔を近づけるって、とんでもなく大胆な気がするけど……ここまで来れば、もう幾らどきどきしようと同じ事だ。
僕は自分にそう言い聞かせ、顔を少し舞園さんへと寄せる。舞園さんも同じように寄せてきて、それだけで甘い香りが一層強くなり、緊張しながらも甘美な居心地に浸させられた。
「じゃあ、撮りますね?」
「う、うん」
「行きますよー? はい、チーズッ」
パシャッ――撮影ボタンが押されると共に、乾いたシャッター音が短く鳴る。目はちゃんと開けてたけど、上手く撮れたかな……?
舞園さんは僕から身体を離すと、携帯を手元に引き寄せて画面を確認した。
「どう?」
「上手く撮れました! ほら、こんな感じですっ」
僕が見えるように携帯の画面を向ける。そこには、誰が見ても一目で分かるくらい頬を真っ赤に染めた僕と、楽しそうにピースをしている舞園さんが鮮明に映っていた。
「苗木君ったら、頬が真っ赤っ赤ですね」
「だ、だって……」
「うふふ……明日、グループの皆にも見せてあげないと」
「ええ!? み、見せるってそんな、恥ずかしいよ……!」
「まあまあ、いいじゃないですかっ。それじゃあ、苗木君にも送りますね?」
舞園さんは嬉し気にぽちぽちと携帯を操作する。そもそも、僕と撮った写真を見せても意味なんてないような……グループの子達は僕の事なんて知らないだろうし。
それとも舞園さん、僕の事を話してるとか……?
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