131: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/12/06(土) 21:54:58.40 ID:rQSpFBW+o
>>64
「ソウルジェムとは即ち君たちの魂そのものだ。
君たちは生命が維持できなくなると精神まで消失してしまう。
そうならないように君たちの魂をソウルジェムという形に実体化してあげているんだ。
そうすれば手に持って自分のことを守れるからね。これはより安全に魔女と戦ってもらうための措置でもあるんだ」
「ふぅん。そんな風に言うのね。そもそもに私たちを魔女にするのが目的なんでしょう? だったら、そんな言い訳をする必要もないと思うのだけど」
「だけど僕たちは君たちの願いをなんでも一つ初めに叶えているじゃないか。それが君たちが魔女になることの対価だとは受け取ってくれないのかい?」
「えぇ、確かに、叶えたい望みは確かに叶っているわ。だけれどね、私の場合はどうなのかしら」
「どういう意味だい? 君の命を助けてほしいって願いは確かに叶ったじゃないか。現にこうして生きて成長して僕と会話をしている」
「魔力を使って体を治すことが出来る。
それはつまり、体から魂が切り離されているからそういうことに違和感が無くなっているってことじゃないのかしら?」
「その辺りは難しいところだろうね。個人差による、としか言えないと思うよ」
「そうね、じゃあ聞き方を変えましょうか。
あの時点でならば私は魔法少女になりさえすれば私の命を自力で助けることも容易かった、違うかしら?」
マミの問いにキュゥべえは沈黙を通した。
「つまり、どんな願いをしていようと私は助かることが出来ていた。
つまり、正常な判断が出来ない状態の時に無理やり契約したともいえるわよね」
「それでも、それを君が願ったことには違いないだろう?」
「そ、うね。その通りだわ」
そこで、言葉は途切れる。
マミには分からなかった。
キュゥべえが何を考えてこんなことをしているのか、が。
何がしたくて、こんな悪夢みたいなシステムを作り出したのか、が。
「でも、私にはもうあなたを許す理由がないみたい。ごめんね、優しい私のパートナー、さん」
渇いた銃声が小さな肉を貫通し、霧に小さな穴を穿った。
弾けた肉からは血すら出ず、それが正しい生き物の形であるのかどうかさえ不透明に思えるほどだ。
頬へと涙が伝う。匂いとひんやりとした感触がマミに対して自分が泣いているということを主張するようだった。
小さな棘がめくれ上がる。めくれ上がったそれはずきりと小さくない痛みを訴え、心を侵食する。
(私、私って、こんなことが出来るんだ。出来て、しまうんだ。
知らなかった、知らなかったわ。きっと今なら、どこまでも残酷になれる……)
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