31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/12/14(日) 19:33:47.60 ID:F6x1vvEx0
「自分が幸せだから、誰かを幸せにしてやろうだなんて奇特なことを思うのさ。恵んでやろうと思うのさ。お小遣いをやろうと思うのさ」
「おこづかい……?」
「そう。幸せってのは金に似ているよな。1が0に、0が1になったりはしない。絶対にしない。決して」
「……っ」
「誰かを幸せにするためには、それに見合っただけの幸せをべつのところから見繕ってこなくちゃいけない。あるいは自らが捻出しなければならない」
「み、みんないっしょに幸せに、なったり、とか……」
「そんなことはありえない。親切には我慢が、協調には諦めが、思いやりには遠慮が付きまとう。それはキミが、誰より知ってるだろう?」
……それは、わかります。
誰よりもわかると思います。
それが私の、昨日までの人生だったから。
「誰だって、借金してまでお小遣いをあげたいだなんて思わない。普通は余裕があるときだけだろ、人を幸せにしてやるのは」
「……」
「もっとも、“良い子症候群”っていうのかな……良い子であることを強要され続けた子は、身を滅ぼしかねない借金をしてでも、お小遣いをまき散らすそうだけど」
「……」
「だけどやよいちゃん、キミの魔法は違う。その魔法を使えば……キミだけは、好きな時に、好きな人を、好きなだけ、幸せにしてやることができる」
「!」
私が、人を好きなだけ幸せにできる?
「まぁ幸せなんて、しょせんは気分だ。高価なプレゼントなんて与えなくても、人は簡単に幸せになる。なった気になれる」
「……」
「そして幸せな気分のときは、普段よりもずっと食べ物を美味しく感じたり、物事を好意的に見るものだ」
「!」
「みんながやよいちゃんに優しくしてくれたのは、やよいちゃんからもらった幸せの“お釣り”なんだよ」
「お釣り?」
「やよいちゃんに幸せにしてもらったから、幸せな気分にしてもらったから、気前が良くなったのさ。もちろん本人たちは無自覚だろうが」
だからみんな、やさしくなったんだ。にこにこして、幸せそうだったんだ。
だからさっき、プロデューサーさんにはきかなかったんだ。
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