過去ログ - 女勇者「帰還後王子と結婚できると思っていたら」
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85: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/12/27(土) 13:49:26.77 ID:5kxt2rWe0
剣の腕はほぼ互角だった。
暗黒騎士が力で私を上回るなら、私は技術で補う。女の身でありながら勇者として戦歴をあげていくにあたり、身体能力よりも技術を上げた方が効率的だった。
それでも暗黒騎士の恵まれた体格から繰り出される剣技は力強く、こちらが攻めきれない程手強い。
結果、一進一退の攻防が続き、勝敗はまたもや有耶無耶になった。

勇者「はぁはぁ…スタミナはそっちの方が上だし、真剣勝負ならそっちの勝ちだったね」

暗黒騎士「だが命のやりとりなら、負ける前に撤退する。それにお前は、初めて戦った時とは比べ物にならない程強くなったじゃないか」

勇者「うん、自分でも実感してる」

王子が剣の稽古をしてくれた。皆が戦いを助けてくれた。だから私は強くなれた。
例え私への気持ちに嘘が混ざっていたとしても、皆は私の恩人で大事な仲間だ。

暗黒騎士「お前程ひたむきなら、もっと強くなれるだろうな」

勇者「じゃあ、暗黒騎士。私が強くなる協力をして」

暗黒騎士「…俺が?」

勇者「そう。…他にいないからね」

暗黒騎士「光栄だな…愛の告白を受けたような気分だ」

勇者「…」ソッ

暗黒騎士「!!」ビクゥ

ちょっと手に触れたらこれだ。全く、面白い人だ。

勇者「貴方は私の事――」

暗黒騎士「ん?」

勇者「いえ、何でもない」


それから何となく休憩を挟みつつ剣の打ち合いをしていた。
食事中や休憩中は他愛のない会話を交わす。本当に他愛なくて、明日になれば忘れてしまうような内容だった。それでも、今の私には、そんな会話ができる相手が必要だった。

貴方は私の事、ずっと見ていてくれるの――?

聞きたかった。でもそんな約束をして、ずっと縛り付けるのは良くない気がして、言えなかった。今の私はどこに気持ちが向いているのか、自分でもわかっていなかったから。
今だけでも、私を見てくれている誰かがいるだけで良かった。


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