21: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:27:12.84 ID:bTDiL5Hz0
「……」
「……」
そのまま十秒もたっぷり待って、慌てて千反田が立ち上がった。
「あっ」
「どうした」
「折木さん、私、忘れていました」
相も変わらず説明の下手なやつである。頭はいいはずなのに、意識が前のめりにすぎるのだ。
「何をだ」
「携帯電話の登録書、書いてきたんです。職員室に行ってきます」
早速持ってきたらしい。律儀と言うか、これが千反田えるという人間の片鱗なのだ。
俺は手を振って応えた。鞄を置いているということは、帰ってくるつもりはあるのだろう。
ややあって、千反田が帰ってくる。俺は手持無沙汰に読んでいたペーパーバックを閉じ、
「お帰り」
「折木さん!」
ぐぐい、っと千反田の顔が寄ってくる。近い。ひどく近い。
これは、あれだ。いつもの予兆だ。
くるぞ、くるぞ、あれがくるぞ。
俺が口をふさぐより先に、千反田が言った。
「私、気になります!」
79Res/66.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。