過去ログ - 奉太郎「守りたいもの」
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22: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:29:22.30 ID:bTDiL5Hz0

「……何がだ」

 最早抵抗する気をなくした俺は、ならば可能な限り省エネにと、進んで千反田の先を促す。

以下略



23: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:30:49.93 ID:bTDiL5Hz0

「福部さんを見たのは私が渡り廊下を歩いているときでした。ふと下を見たら、福部さんが特別棟から出て、外を歩いて一般棟に入るのが見えたんです。私は職員室に行きました。そうしたら、福部さんの姿があって……」

「その時訊けばよかったじゃないか」

以下略



24: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:32:18.78 ID:bTDiL5Hz0

 そうだ。特別棟の三階から一般棟の二階に行きたい場合、普通渡り廊下を使って降りていけばいい。わざわざ一階まで下りて、外に出て、また階段を上る必要はない。省エネ主義者でなくとも普通はそうする。
 俺は暫し考え、思い付きを口にしてみる。

「普通に考えれば、特別棟の一階か、一般棟の一階に用事があったと考えるのが妥当、か」
以下略



25: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:33:01.01 ID:bTDiL5Hz0

「じゃあ職員室に寄った後、また別のところに行った可能性があるな」

「ですが」

以下略



26: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:34:28.32 ID:bTDiL5Hz0

「納得できないか」

「あ、いえ! 決してそういうわけでは……。ただ、特別棟の二階以降か、一般棟の一階にある用事とは、どんなものなのか気になっただけで」

以下略



27: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:35:25.66 ID:bTDiL5Hz0

「隠し事を暴き立てようという趣味は私にはありません。ありませんが、明らかに怪しい折木さんを見て、気にならないわけでもありません」

 いつもよりは幾分か控えめに千反田は言う。それでも瞳は爛々と輝いていて、俺はその視線にいつもからめ捕られるのだ。
 椅子に深く座り直し、俺は天を仰いだ。
以下略



28: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:36:14.67 ID:bTDiL5Hz0

 千反田は驚いたような、それでいて納得したような表情で俺の話を聞いている。

「里志は渡り廊下を使わなかったんじゃない。あいつはずっと図書室にいたんだ。職員室に行ったのは、まぁ、普通に用事があったんだろうな」

以下略



29: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:37:38.86 ID:bTDiL5Hz0

 次の日もまた、神山高校の女生徒が襲われた。

 何やら恐ろしいものの足音が近づいてくるのを俺は感じた。もちろんそれは俺だけが感じているのではないだろう。
 パトカーや警察は存在を明らかにして学校の前や周辺を巡回している。それとは別に、学校も集団下校を実施しはじめた。
以下略



30: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:38:32.01 ID:bTDiL5Hz0

「それで、どうして俺に」

「もしかしたら用心に越したことはないかと思ってさ」

以下略



31: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:39:28.32 ID:bTDiL5Hz0

「杞憂だったらいいんだけどね。もし犯人がその携帯電話の持ち主を狙ってるんだったら……気を付けなきゃいけないのは千反田さんだ」

 俺はどきりとした。そうだ、狙われているのは女子なのだ。
 犯人がどうやって携帯電話の種類を特定しているのかはわからないにせよ、事実としてそうならば、気を付けるに越したことはない。しかしなぜ俺に。
以下略



32: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:40:39.77 ID:bTDiL5Hz0

 俺は自室のベッドに横になり、銀色の携帯電話をかざしていた。それなりに使われていたのだろう、角のあたりはメッキが剥がれてしまっている。

 里志の言っていたことはどうしても気になった。我慢できず、携帯電話を開く。
 幸いにもロックはかかっていなかった。が、プロフィールを見ても名前は載っていない。住所なども然りだ。これでは身元が分からない。
以下略



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