過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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18:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 18:20:10.43 ID:gIGEqEoto



………

空気が宿命的に蒸していることを覗けば、俺が北高へと向う道程は、何事もなく過ぎていった。
あえて言うなら、家を出る瞬間に、妹にその姿を目撃されたことくらいだろう。
俺が行き先を「学校」と短く告げると、妹は不思議そうに眉をしかめ、家を出る俺の背中を見つめていた。

「多分、教室だよな……鍵は職員室か?」

全力でチャリを飛ばし、校門前へたどり着いた俺は、息をつきながら、辺りを見回し、誰にも見られていないことを確認した。
数ヶ月前、ハルヒから聞いた情報が真実ならば、職員室へは、床に近い位置に取り付けられた小窓から、潜りこむことが出来るはずだ。
閉ざされていた校門は、驚くほど簡単に開いた。どうやら、うちの高校の警備は相当ザルらしい。
それでも、出来るだけ物陰に隠れながら、昇降口を目指す―――その途中で、校舎に取り付けられた、大きな時計の文字盤が目に入った。
主に、体育の際などに利用している大時計だ。何年も前に、そこで教師が死んでからは、使われていない……なんてことはなく、いつも普通に、現在時刻を示している。
その時計が、まもなく零時を指そうとしていた。
瞬時に、俺の頭の中に、あの制止した時間のことが思い出される。

「今、ああなったら……どうなるんだ?」

一瞬、俺の中で、このままではヤバイ。という気持ちと、いや、そうでもないんじゃないか。という、気持ちが交差した。
あの時間の中では、俺以外の人間は皆―――と、言い切るには、判断材料がやや少なめだが―――あの黒い柩の姿へと変わってしまう、と。
なら、考えようによっては、誰にも知られずに校舎へ忍び込むには、むしろちょうどいいかもしれない。
それに、ここまで来てしまったのだから、いまさら思い悩んでも遅い。さっさと目的を果たし、速やかに自宅へ帰るというのが賢明な気がしてきた。

……上着、持ってくりゃよかったな。
この時、まだ、俺には、そんな呑気なことを考えている余裕があった。
しかし、大時計が零時を示し、空の色が変わった瞬間から。
俺は、寒さを感じるような余裕などない、悪夢のような異常事態に見舞われる事となった。


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