過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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42:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 19:38:55.20 ID:gIGEqEoto
突然の事態に、声が詰まってしまう。
咄嗟に頭上を見上げようとすると、天井に向けた顔面に、黒い何かが覆いかぶさってきた―――接触した感触からするに、カーテンのように見えたそれは、どうやら細い糸の束のようだった。

「くそっ、なんだこりゃ!」

悪態をつきながら、顔面を覆う糸を振りほどこうとする。が、糸はまるで意思を持っているかのように、俺の体にまとわりつき、やがて、捕縛するように全身を締め付け始めた。
これは奇襲だ。完全に油断していた俺は、ペルソナを召喚する暇もなく、漆黒の糸に、全身を絡め取られてしまった。

「ダンテ!」

ひと呼吸、神経を研ぎ澄ませた後、ダンテを呼ぶ……しかし、体表を覆う糸が、それを押さえ込んだ。本体である俺が拘束されている以上、ダンテもまた、自由に行動することはできない。
せめて、動けなくとも行使できる、何らかの能力があればいいのだが、ダンテの能力として思い浮かぶのは、羽ペンを振るっての物理攻撃ばかりだ。突進するか、薙ぎ払うか―――

そうだ。
俺がペルソナに目覚めてから、一発目の攻撃。迫り来るナイフの化物を撃退した際。ダンテの羽ペンは、閃光を放っていたはずだ。あの一撃を放った際の感覚を思い出す。

「燃やせ、ダンテ!」

俺の言葉と同時に、ダンテの背で、羽ペンが光を放ち始める。黒い糸は、俺とダンテの体を、背中の羽ペンごと締め付けている……その、羽ペンに接触している部分が、チリチリと焼ける音を立てた。
やがて、糸の束が千切れる感覚ととも、胴体に感じていた圧迫感が消え去り、両腕が自由になった。すぐさま、右手を背中の柄モノに伸ばし、目の前の漆黒に向かって、袈裟斬りに振り下ろした。
糸の束が音を立てながら千切れ、重力に従い、バサバサと地面に垂れる。開けた視界に、俺と同様拘束された古泉の姿が見えた。
顔面の糸を振り払い、糸の束の根元……天井に近い位置に向けて、さらにもう一撃、横薙ぎに斬撃を放つ。
先程よりも重い手応えとともに、天井から垂れたほぼすべての糸が断たれ、やがて、黒い霧に変わり始めた。俺たちの体にまとわりついた糸もまた、消滅してゆく。

「古泉、大丈夫か」

「ええ、なんとか。また、借りを作ってしまいましたね」

立ち込める霧を手で振り払いながら、古泉が申し訳なさそうに、眉をハの字にした。
俺は、ダンテを召喚したまま、天井を見上げる……しかし、そこには何もない。見飽きた模様の天井と、明かりの灯っていない蛍光灯があるだけだ。


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