過去ログ - 男「あのな、俺ってば単純だから」 少女「そうですねぇ」
1- 20
8:名無しNIPPER[saga]
2015/01/01(木) 04:12:39.14 ID:dPqUrijH0

男「少女、僕は単純な人間だ」

少女「そうですね。私がよく知っています」ギュー

男「ああ、君のよく知る叔父さんは酷く単純だよ」

男「君が兄さんの忘れ形見だとしても、僕は何の雑じり気もなく、ただ、純粋に君を愛していると言えるくらいに……」

僕は一層抱き締める力を強めた。
少女もそれに応えて、ぎゅっと抱き締め返してきた。
この娘は、僕よりも力が弱くて、僕より何倍も華奢で、僕よりも何十年生きていくというのに、
僕よりも重い、あまりにも重いものを背負わされているんだ。

少女「叔父さん……」

男「単純っていうのはね、少女。自分の想いに何の枷もつけずに相手に伝えられるものなんだ」

男「……悪くないだろ、単純も」

少女「そう、ですね……でも、単純過ぎても駄目ですよ?」

そう言って少女は満ち足りた笑みを浮かべて、


少女「────今日は、月が綺麗ですね。男……?」


僕を真っ直ぐ見て言った。

男「?」

少女「……はぁ。今日はもうウォーキングはおしまいです、帰りましょう」

男「そうだな。いやでも、さっきのは……?」

少女「じゃあ我が家まで競争です! ────はいヨーイドン!!」ダダッ

男「ああっ、おい! ……ったく」

僕も今満ち足りた顔をしているのが、見ないでも分かった。
こんな幸せな気持ちを夜空に描いてほしくて、
僕は顔を上げて月を眺めた。



男「月が綺麗ですね……か。どういう意味だろうな、お月様は知っているのかい?」

当然、答えは返ってこない。
後ろの急かす声で、僕も我が家に帰ることにした。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
15Res/12.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice