過去ログ - 男「あのな、俺ってば単純だから」 少女「そうですねぇ」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/01/01(木) 04:12:39.14 ID:dPqUrijH0
男「少女、僕は単純な人間だ」
少女「そうですね。私がよく知っています」ギュー
男「ああ、君のよく知る叔父さんは酷く単純だよ」
男「君が兄さんの忘れ形見だとしても、僕は何の雑じり気もなく、ただ、純粋に君を愛していると言えるくらいに……」
僕は一層抱き締める力を強めた。
少女もそれに応えて、ぎゅっと抱き締め返してきた。
この娘は、僕よりも力が弱くて、僕より何倍も華奢で、僕よりも何十年生きていくというのに、
僕よりも重い、あまりにも重いものを背負わされているんだ。
少女「叔父さん……」
男「単純っていうのはね、少女。自分の想いに何の枷もつけずに相手に伝えられるものなんだ」
男「……悪くないだろ、単純も」
少女「そう、ですね……でも、単純過ぎても駄目ですよ?」
そう言って少女は満ち足りた笑みを浮かべて、
少女「────今日は、月が綺麗ですね。男……?」
僕を真っ直ぐ見て言った。
男「?」
少女「……はぁ。今日はもうウォーキングはおしまいです、帰りましょう」
男「そうだな。いやでも、さっきのは……?」
少女「じゃあ我が家まで競争です! ────はいヨーイドン!!」ダダッ
男「ああっ、おい! ……ったく」
僕も今満ち足りた顔をしているのが、見ないでも分かった。
こんな幸せな気持ちを夜空に描いてほしくて、
僕は顔を上げて月を眺めた。
男「月が綺麗ですね……か。どういう意味だろうな、お月様は知っているのかい?」
当然、答えは返ってこない。
後ろの急かす声で、僕も我が家に帰ることにした。
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