38: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:39:13.54 ID:RN7L+xaq0
どうか、ドウカ……願わくば……。
人では無いモノとなった彼女の、御霊だけでも、せめて人らしく在りますヨウに……。
妾は手を合わせました。
ちんどん屋の鳴り物はもう聞こえません。
39: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:40:23.08 ID:RN7L+xaq0
祈りを終えて、涙を拭います。
その時になって、やっと、初めて、
40:名無しNIPPER[sage]
2015/01/06(火) 10:35:10.97 ID:mUiU1XcAO
乙。
続くの?
41:名無しNIPPER[sage]
2015/01/15(木) 19:30:38.14 ID:7ZrYUakf0
乙
42: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:34:40.36 ID:uP2qnu460
2
……オホホホホホホホ……。
どういう事なのか、サッパリ分からないでしょうね。
エエ、妾もそうなのですから当然でしょう。
43: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:36:15.70 ID:uP2qnu460
しかし、事実なのですから仕方がありません。
妾は永遠に友達を失い、そして……それは最初から居ないモノだったのです。
もう、彼女の御霊が人なのか人では無いのか、そもそも此の世に彼女の御霊はあるのか……御霊というモノ自体存在するのか……。
妾には何もわからなくなってしまいました。
44: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:38:05.57 ID:uP2qnu460
目の前には、小さな腰掛けが二つ、乱雑に置かれています。
チョット前まで、妾とチイちゃんが座っていたものでした。
戻ってきたのです。昼間、ボンヤリと座っていた軒先に……。
腰掛けの上にチョコンと置かれた、パッチワーク・キルト地のクッションは、まだチイちゃんの温かさを残しているヨウでした。
妾はしばらくの間、チイちゃんの存在を確かめるかのように、そのクッションを撫でておりました。
45: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:39:41.38 ID:uP2qnu460
老婆の目は色を失いくすんでいて、何も見えていない様子でした。
その盲いた二つの目の球で、いつまでも妾を見つめているのです。
妾は背筋に冷たいモノを感じ、足早にその場を立ち去りました。
老婆にチイちゃんの事を訪ねようか、一寸(すこし)迷いましたが……。
46: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:41:22.02 ID:uP2qnu460
本当に……彼女は、チイちゃんは……。
一体何者だったのでしょう……。
記憶を辿ってみても、そういえば、彼女の姿ナンゾ何処にも見当たらないのです。
齢三つの頃、母の手に引かれて歩いた時も……。
47: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:47:10.84 ID:uP2qnu460
もしかしたら、妾は、忘れてしまったのでしょうか。
チイちゃんという大切な存在を……覚えていたハズなのに、スッポリと記憶から抜け落ちるように、忘却の彼方へと飛ばしてしまったのでしょうか。
人で無いモノへと成った彼女を見て、全て脳髄から消し去ってしまったのでしょうか。
とっさに自分の名前と、住まいと、友人の名前と……思いつく限りの全ての情報を、妾の知ってる全ての事を、改めて思い返しました。
48: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:49:09.91 ID:uP2qnu460
町は落ち着いていて、それでいて活気があり、人々の笑顔で溢れておりました。
しかし妾の心は正反対に、ズブズブと深い沼に沈んでいくようでした。
全ての景色が灰色に見えます。
道行く人々の笑顔一つですら、妾を馬鹿にする顔に見えました。
店先で談笑する婦人の笑い声が、妾を嘲笑する声に聞こえました。
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