過去ログ - あやかしの地獄
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51: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:54:25.73 ID:uP2qnu460
「覚えていないっていう事はネ、知っていてもドウって事無いって事さね」

男の声が聞こえました。
温かい、優しい声でした。


52: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:56:24.52 ID:uP2qnu460
「……ドウって事、無い?」

「そうさ。要らないから忘れるのさ」

「……要らない事は、無いでしょう」
以下略



53: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 00:59:01.52 ID:uP2qnu460
「……つまり……チイちゃんの事も、この場所の事も……知っていてもドウって事無い……要らないからスッカリ忘れてしまった、ト……?」

「イヤ確かに。でっかいのは脳味噌もでっかいと見えるネ。良く出来たモノを持っている……」

「ハア……それは、ドウモ……」
以下略



54: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:01:26.40 ID:uP2qnu460
「何処を見ている? 此処だよ、おうい」

見渡しても、婦人が二人居るだけです。
男の声は聞こえますが、男の姿が見えません。
婦人の一人は酷い痘痕(あばた)面で、痒そうに頬を指先で引っ搔いておりました。
以下略



55: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:03:25.84 ID:uP2qnu460
目の前で、またも可笑しな事が起こってしまったのですから。


56: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:05:51.22 ID:uP2qnu460
痘痕面の婦人の痘痕が、モゾモゾと動き始めたのです。

痘痕の一つが奥に引っ込んだかと思うと、ポッカリ穴が空きまして、そこからギョロリと目玉が現れました。
痘痕がポツリと二つ空きますと、そこから鼻息が聞こえました。
グンと横一文字に動きまして、引き裂かれるヨウに溝が出来ますと、舌がデロリとはみ出しました。
以下略



57: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:07:39.44 ID:uP2qnu460
……アハハハハハハハハハハハハハ……。

妾は笑いが止まりませんでした……。
痘痕も笑窪(えくぼ)という言葉が御座いますが、まさか痘痕に笑窪があるナンテ……。
思いもしなかったものですから。妾はモウ可笑しくてオカシクテ……。
以下略



58: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:09:19.15 ID:uP2qnu460
「人の面を見て笑い転げるナンテ、存外失礼な娘だね。俺を見て泣く奴は山と居たが、笑われるのは初めてだよ」

「人? 人の面って、貴方……痘痕がナニヤラ言っておりますよ……」

妾はまた腹を抱えましたが、次第に慣れてきまして、チットモ笑わなくなりました。
以下略



59: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:11:13.72 ID:uP2qnu460
「ようやく落ち着いたかい。でっかいのは陽気な事だねエ」

「エエ、どうも失礼致しました。それで、貴方は……?」

「俺の事ナンゾ、ドウだって良い事さね。ソンナ事を覚えていたって、脳髄にとっちゃア迷惑な話さ」
以下略



60: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:13:39.82 ID:uP2qnu460
「つまりネ、君。忘れちまったモノを思い返そうとするナンテ、馬鹿のやる事なのだよ」

「ハハア、そういうものですか」

「さよう……スッカリ忘れちまったのだろう?」
以下略



61: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/18(日) 01:16:01.86 ID:uP2qnu460
「サテ、俺の言いたい事がわかるかい?」

「エッ? ……イ、イエ……全く……」

「フウム、少し難しいかい」
以下略



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