3: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:11:46.68 ID:0v+4uQkno
「このリンゴ貰ってくよ!」
「おい、ガキ!待ちやがれ!!」
「へへっ、捕まるもんか」
4: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:12:34.46 ID:0v+4uQkno
昼間は盗みをはたらき、夜は路地裏で一人うずくまって眠る。
そんな暮らしをしていた少年は、いつしかこう考えるようになっていた。
―――天国はもちろん、地獄にだって喜んで行ってやる。
ここよりマシな暮らしが出来るならね。
5: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:13:37.65 ID:0v+4uQkno
――――――――――――――――――――
「こらアンタ、そのパンを返しなさい!」
甲高い声を背に受けながら、少年は走っていた。
6: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:14:24.86 ID:0v+4uQkno
ふと、その行列の中のある少女に目を奪われた。
「うわぁ…」
思わず声を漏らしてしまう程に、少女は美しかった。
7: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:15:05.53 ID:0v+4uQkno
その時、ほんの一瞬ではあるが、少女と目があった。
(…っ!?
俯いていてあまり良くは見えなかったけど、泣いていた?)
8: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:16:17.82 ID:0v+4uQkno
(そんな、信じられない…
信じたくない…
俺と歳も変わらないような子が?
やっぱり人は平等なんかじゃないじゃないか)
9: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:17:16.55 ID:0v+4uQkno
「うわああああ!!!」
金持ちの家を見届けたあと、少年は叫びながら走った。
少女の身体にあの穢らわしい手が触れているのか――そう考えると、叫ばずにはいられなかった。
10: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:18:05.12 ID:0v+4uQkno
少年は神に尋ねた。
いや、神など居ないのかもしれないが、そんな事は今はどうでも良かった。
「なぜ、僕らだけは愛してくれないのですか」
11: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:20:24.56 ID:0v+4uQkno
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夕暮れになるのを待って、武器商人から一本の剣を盗んだ。
それは少年にとって、初めての『生きるため』ではない盗みだった。
少女を生かすためだったのだろうか。
12: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:22:37.74 ID:0v+4uQkno
「お前、なんの用だ?」
「…」
答えることなく唐突に剣を振るう。
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