6: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:14:24.86 ID:0v+4uQkno
ふと、その行列の中のある少女に目を奪われた。
「うわぁ…」
思わず声を漏らしてしまう程に、少女は美しかった。
7: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:15:05.53 ID:0v+4uQkno
その時、ほんの一瞬ではあるが、少女と目があった。
(…っ!?
俯いていてあまり良くは見えなかったけど、泣いていた?)
8: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:16:17.82 ID:0v+4uQkno
(そんな、信じられない…
信じたくない…
俺と歳も変わらないような子が?
やっぱり人は平等なんかじゃないじゃないか)
9: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:17:16.55 ID:0v+4uQkno
「うわああああ!!!」
金持ちの家を見届けたあと、少年は叫びながら走った。
少女の身体にあの穢らわしい手が触れているのか――そう考えると、叫ばずにはいられなかった。
10: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:18:05.12 ID:0v+4uQkno
少年は神に尋ねた。
いや、神など居ないのかもしれないが、そんな事は今はどうでも良かった。
「なぜ、僕らだけは愛してくれないのですか」
11: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:20:24.56 ID:0v+4uQkno
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夕暮れになるのを待って、武器商人から一本の剣を盗んだ。
それは少年にとって、初めての『生きるため』ではない盗みだった。
少女を生かすためだったのだろうか。
12: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:22:37.74 ID:0v+4uQkno
「お前、なんの用だ?」
「…」
答えることなく唐突に剣を振るう。
13: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:23:37.28 ID:0v+4uQkno
バンッ
最奥の部屋の扉を開ける。
慌てた様子の醜く太った半裸の男と、表情を失った、一糸纏わぬ少女。
抜け殻となったような少女をみて、少年は遅すぎた事を悟った。
14: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:24:27.18 ID:0v+4uQkno
「なんだお前は!?」
男の問いには答えない。
いや、その声は少年に届いてすらいなかった。
男は少年が剣を持っていることに気づいた。
15: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:25:20.33 ID:0v+4uQkno
少年を見た少女は、壊されてしまった魂で微笑んだ。
そして一言
「私を…殺して…」
16: ◆g/ChnI.qIuu2[saga]
2015/01/06(火) 18:26:07.74 ID:0v+4uQkno
剣を引きずりながら、ゆっくりと少女に歩み寄る。
少女の前に立った少年が剣を持ち上げる。
少女は、もう一度微笑んだ。
「うわああああ!!!」
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