過去ログ - 幸子「アイドルになった事に後悔なんてしていません」
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19:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:20:11.84 ID:EM5bJfah0
 胸に手を添えなくても全身に伝わる鼓動がその正体。

 自分で言うのもあれですが、柄にもなく、ボクは緊張しているようです。

 中学の入試の時も、これほど体は強張りませんでした。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:21:53.48 ID:EM5bJfah0
 化粧室に着いたボクは洗面台の前に立ち、濡れないように前髪を大きく分けて髪留めを付け直しました。

 冷たい水を両手に集め、飛び散らないように顔を浸けます。

 指の隙間から洩れ、掌の水が減ると、もう一度。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:23:39.71 ID:EM5bJfah0
 鏡から目を背け、ボクはかぶりを振ります。

 大丈夫。

 絶対に大丈夫。
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:24:27.95 ID:EM5bJfah0
「……ない」

 スポーツバッグの中に、あるはずのモノがないのです。

 手袋もある、髪飾りもある、けれどありません。
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:26:42.16 ID:EM5bJfah0
 無意識の内に取り出した?

 それもあり得ません。

 なにしろそのブーツは、衣服の下に入れいました。
以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:28:17.71 ID:EM5bJfah0
 いつ?

 ついさっきでしょう。

 ボクがスポーツバッグから離れたのは、先程化粧室に行った時だけです。
以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:29:51.73 ID:EM5bJfah0
 現在、室内にいるのは八人。

 化粧室に行く前、何人この部屋にいたのか、記憶していなかった事が悔やまれます。

 顔も覚えていれば、犯人を特定出来たかもしれないのに。
以下略



26:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:32:56.28 ID:EM5bJfah0
 残された時間はあまり長くはありません。

 時計を見て現時刻を確認したあと、ボクはスポーツバッグの帯を肩にかけて、控室を出ます。

 と、すぐに立会人さんを見つけました。
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:34:07.51 ID:EM5bJfah0
 立会人さんは、そんなボクを一瞥する事さえなく、ボクの後ろに向かって去っていきます。

 呼び止めないと。

 一緒に探して貰わないと。
以下略



28:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:36:06.31 ID:EM5bJfah0
 いい学校に通わせてくれて、突然アイドルになるなんて言ったボクの言葉を了承してくれた両親に、これ以上迷惑をかける事だけは阻止しないといけません。

 ですが腕に力が入りません。

 足にもです。
以下略



29:名無しNIPPER[saga]
2015/01/06(火) 21:37:30.01 ID:EM5bJfah0
「だ、大丈夫か?」

 正面から声がしました。

 男の人の声です。
以下略



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