過去ログ - 隼鷹「提督〜たまには二人でしっぽりと、どうだい?」
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1: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:20:57.32 ID:oFNauiId0
地の文アリ
嫁が隼鷹なんですがSSが殆ど無いので自給自足

Pixivに投稿したものですががこちらにも

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2: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:23:06.98 ID:oFNauiId0
時間はフタヒトマルマルマル、いつもならば既に酔っているであろう隼鷹がシラフで執務室へやって来た。手に酒瓶を持っているということは鳳翔さんの店ではなく、ここで飲むということであろう。

そういえば最近雑務に追われる日々で、久しく酒など飲んでいないことを思いだす。そんな私を労ってなのか、単に自分が飲みたいからなのか、酒瓶を片手に笑いかける彼女からは窺い知ることは出来ない。

仕事も一段落したところでもあるし、断る理由もない。久しく飲んでいないだけであり勿論私も酒は好きである。まあ、隼鷹ほどではないが。
以下略



3: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:24:19.64 ID:oFNauiId0

「おい待て隼鷹、ここで飲むのではないのか?」

「おっと失礼。んーでもここで言っちゃつまらんからなあ、まあいいから付いて来なって」

以下略



4: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:25:03.25 ID:oFNauiId0
気づくと玄関まで来ていた、どうやら外で飲むつもりらしい。私はコートハンガーからコートを手にとる、手袋は飲むのに邪魔であろう、付けないでおいた。普段海の上で戦っている艦娘は寒さに強いらしい。普段の格好のままは見ているこっちが寒くなるが、彼女らには自然体が一番らしいので何も言わないでおく。

外へ出ると流石の寒さに思わず震える。しかし風はないらしく寒さを感じたのは最初だけであった。ふと目を上げれば今夜は満月らしく、明かりがなくても辺りを見渡すことが出来た。


5: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:26:16.29 ID:oFNauiId0
「ふむ、月見で一杯やろうってことかな?」

「まあそういうこった、勿論それだけじゃないけどね」

先を行く彼女に慌てて付いて行く。今現在雪は降っていないが、少し前までは降っていたらしい。新雪を踏む音が心地よい。下を見ると隼鷹の付けた以外の足あとがある、先に誰か居るのだろうか。寒空の下待たせてはいけないと思い自然と歩くスピードが上がる。


6: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:26:43.84 ID:oFNauiId0

「そんな慌てなさんな、滑っても知らないよ?」

「他の誰か居るのではないのか?」

以下略



7: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:27:13.75 ID:oFNauiId0
付いた先は建物から少し離れた丘だった。下を見やれば防砂林とその先の海が見える。普段は普段と違って雪をかぶった防砂林は月に照らされ何とも言えぬ趣を醸し出している。

「月と雪と海の3点セットか、なかなかのものだな。近くにこんなスポットがあったとは」

「だろ?あたしもつい最近見つけたのさ。提督も部屋にばっか籠ってないでたまには外に出たらどうだい?」
以下略



8: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:27:41.55 ID:oFNauiId0
彼女が座り込んだそこにはガスコンロと鍋が置いてある。成る程、別にあった足あとは彼女が先に来て準備していいったものであったのか。湯気を立てる鍋の中では田楽と熱燗がいい状態で仕上がっていた。

「ではでは早速」

「「乾杯」」
以下略



9: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:28:13.24 ID:oFNauiId0
「先に準備していたようだが、私が断るとは考えなかったのか?」

「ん〜、断られたら1人で飲むのかね?まあ断るとは思っていなかったよ。なにせあんたとあたしの仲だからね」

何を根拠に言っているかは分からないが、不思議とそんな気がした。きっと彼女からの酒の誘いは断らないだろう。
以下略



10: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:28:54.05 ID:oFNauiId0
「そう言えば」

ふと思い出す、そう昔は。

「昔はよく二人で飲んでいたな」
以下略



11: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:30:46.28 ID:oFNauiId0
「そうだね〜いつから飲まなくなったんだっけかなあ」

「戦果を上げるようになってから仕事量も増えたからなあ」

「新しい仲間も増えて提督独り占めする時間も減ったしな〜」
以下略



12: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:31:13.77 ID:oFNauiId0
「あんたの空母童貞はあたしが貰ってやったんだからな、軽空母だけど」

「こらこら、女性がそんなこと言うもんじゃないぞ」

「おや、ちゃんと女として見ていてくれてたのかい」
以下略



13: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:32:00.81 ID:oFNauiId0
「提督、あたしはね」

「あたしはね、提督、あんたにほんっとに感謝してるんだよ。こんな、こんな碌でもない大酒飲みをずっと使い続けてくれて」

不意に真面目に、訥々と。普段の彼女からはあまり見られない口調で、しかし私の目をしっかりと見て、彼女は話し始めた。


14: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:33:06.92 ID:oFNauiId0
「でもあたしはあんたが心配なんだよ。最近はもっぱら仕事で、休んでるところをあまり見ない」

「隼鷹・・・」

「いや、違うな。ごめん提督、そんなのは建前だ。あたしは寂しかったんだ。仕事仕事であんたとろくに話せない、酒が飲めない。あんたがどんどん遠くに行っちまう気がして、ただただ寂しかったんだ」


15: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:34:15.70 ID:oFNauiId0
私は自然に、体が勝手にと言ってもいいだろう。彼女を抱き寄せた。

「ごめんな隼鷹、今まで気付いてやれなくて」

「〜っ」
以下略



16: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:36:07.69 ID:oFNauiId0
どれ位経っただろうか、先ほど飲んだ酒も程よく抜けた頃、体から重みが消えた。

彼女は二三度私のコートに顔を擦り付け、ズビズビとなにやら不穏な音を立てて顔を上げた。私は身代わりになってくれたコートに感謝し彼女の顔を見る。その顔はどこか気恥ずかしさの混じった顔ではあるが、概ねいつもの彼女の顔であった。どこかスッキリした様子もある。

「泣き上戸ってワケじゃないはずなんだけどなあ」
以下略



17: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:37:24.86 ID:oFNauiId0
「まあいいさ、仕切りなおしだ。折角上等の酒があるのにこれじゃあ酒に失礼だ」

調子をいつもの様に戻そうと努力しているのかパタパタと動きながら小声でひゃっはー等と言っている。きっと酒を飲めばいつもの彼女に戻るだろう。しかしそうなる前に言っておかなければ私はきっと後悔するだろう。

「隼鷹」
以下略



18: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:38:04.93 ID:oFNauiId0
何とも間の抜けた返事が返ってくる。まあ仕方がないだろう。とは言え私自身余裕が有るわけではない。今を逃したら次はなかなか来ないだろうという思いと、勢いで言ってしまったのではという思いが混ざり、というか相当な恥かしさもあり隼鷹の返事を待つこの時間が永遠にも思えてどうしたらいいのか分からなく―

「えっと、あたし練度足りないけど・・・ああ、よくある予約?宣言?練度達したらっていう・・・」

まあ、そうなるな。


19: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:38:50.61 ID:oFNauiId0
「いや違う」

「えっと・・・カッコカリじゃなくて?」

「うん、ガチな方」
以下略



20: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:39:43.73 ID:oFNauiId0
「いいのか?あたしなんかで」

「お前じゃなきゃ駄目なんだ」

「あたしいっぱいお酒飲むよ?」
以下略



21: ◆cTRJCNEVPY9.
2015/01/09(金) 02:40:16.14 ID:oFNauiId0
「〜っひゃっはー!!!」

いつものように、いやいつも以上の勢いで叫びながら彼女は私に飛びついてきた。

「後悔するなよ?」
以下略



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