16: ◆EhtsT9zeko[sage saga]
2015/01/13(火) 22:11:52.38 ID:2lkmBX+Eo
翌朝。眩しい光を感じて、私は目を覚ました。私は、部屋のベッドに横になっていた。窓から差し込んでくる朝日が私の寝ぼけ眼に刺さる。
ふと、香ばしい匂いが鼻をくすぐった。朝ごはん…?どうして?ぼんやりとする思考で私は壁掛けの時計を見やる。
時間は、いつも朝食を提供する7時をもう一時間近くすぎていた。
あぁ、寝坊した!そのことを理解し、ベッドから飛び降りた瞬間、ガクン、と膝が折れて床へと倒れ込んでしまう。
何、今の?
私は今度は、恐る恐る体を起こしてみる。立ち上がることは出来たものの、なんだか全身がスカスカとしていて力が入らない。
虚脱しているような、そんな感覚だ。だけど、私はその奇妙な感覚に、覚えがあった。これは、シドニーで点滴を受けて眠ったあとに感じたのと同じ。
そう思って、昨晩のことを思い出す。そう、確か、私、カレンの家族のことを聞いてと取り乱して…
そのあと、アヤに落ち着くように、ってコップの水を一杯もらった…でも、その水は、ソフィアが用意してくれたはずだ。
そうか…ソフィアの薬を盛られたのかもしれない。ソフィアは、未だに時々悪夢を見るから、と街の総合病院で軽い安定剤と睡眠導入剤をもらっている。
たぶん、それを水と一緒に飲まされたんだ。あのときも、そうやって収まったから、たぶん今回も、アヤがそうしてくれたんだろう。
私は手早く身支度を整えてホールに駆け降りた。ホールのドアを開けると、アヤとソフィアが食後のお茶をすすりながら何かを話し込んでいる姿があった。
「あぁ、レナ。おはよう、気分どうだ?」
私に気付いたアヤがそう聞いてくれる。
「おはよう…うん、大分楽だよ…」
少しだけ戸惑いながら二人のところまで行って席につくと
ソフィアがお茶を、アヤが朝食だったらしいサンドイッチとサラダにポテトと目玉焼きの乗ったプレートを準備してくれた。食欲は…あまりない、な。
私はソフィアが淹れてくれたお茶に口をつけてからふうと息をついて、まずは寝坊してしまったことを二人に謝った。
「まぁ、気にすんな。あんたがヤバいときはアタシが守る。それがアタシらのルールだろ?」
「いつもは私ばっかりお世話になってるから、これくらいなんてことないですよ」
二人がそう言ってくれたので、少しだけ胸が軽くなる。
「ありがとう…。カレンはもう出かけた?」
「あぁ、うん。空港に送ってやったよ。バーンズさん達も今日はキュラソーの方へ行ってみるって言うから、さっき街の港まで送り届けたところだ」
そう…とりあえず、良かった、かな。お客さんのバーンズさん達に迷惑が掛からなくて。私は胸を撫で下ろしつつ、もう一度二人にお礼を言う。
すると、アヤよりも先にソフィアが
「良いんですよ。こんなときは頼ってくれて」
なんて言って笑ってくれた。ふと、そんなソフィアの笑顔私は少しだけ疑問を感じた。ソフィアだって、ジオンの人間だ。
カレンの家族の話を聞いて、何かしら感じるところはあるはず…ソフィアはそういう気持ちをどう扱っているんだろう?
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