過去ログ - ペンション・ソルリマールの日報
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44: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/03/17(火) 02:27:22.07 ID:CqIKSWGFo

「ん、レナ、どうしたの?」

カレンが、不思議そうな声色で聞いてくる。いっそ、話をしてしまおうか…一瞬、そんな思いが頭をよぎる。

でも、ダメだ…もし、本当に伝えるのだとしたら、電話なんかじゃ、ダメだ。

カレンの目の前で…カレンに罵倒されても良い様に、カレンに殴りつけられても良い様に伝えないといけない。

それが、私に示すことのできる、唯一の誠意だろう。

「その…ありがとう…」

私は、結局そうとだけ、カレンに伝えた。でも、当のカレンは

「ん…いや、うん、別に…ど、どういたしまして…んーあぁ、もう!あんたら、二人して私をからかってんじゃないでしょうね?」

と、なぜだか楽しそうに憤慨した様子で言い返してくるだけだった。それを聞いた私の頭を、不意にアヤがクシャっと撫でてくれる。

顔を上げて見やったアヤは、やっぱり、いつものあの明るい笑顔で笑ってくれていた。

「アタシはそうだけど、レナは違うぞ!」

「まったく…自分がやられたら、真っ赤になって怒るクセに」

「ア、アタシのことはどうだっていいだろ!」

カレンの言葉に、アヤは突然声を上げた。アヤの顔がみるみる赤くなっていく。

「あはは、これでおあいこだね。まぁ、とにかく何かあったら連絡するよ。そろそろ切らないと、売店がしまっちゃいそうなんだ」

「油断も隙もあったもんじゃないよなぁ…まぁいいや。こっちも何かあったら連絡する。それまで、頼むな」

「お願いね」

アヤの言葉に、私もカレンへそう声をかける。カレンは穏やかな声で

「あぁ、任されたよ」

と言ってくれて、それから

「それじゃぁね」

と電話を切った。

 アヤはPDAを私に握らせて、それから両肩にポン、と手をおいてくれる。

「ほら。しっかりしよう!今はとにかく、そのテオって子のことと、それからアタシらの隊の優秀なる整備班の二人を出迎えてやらないと!」

そう言って、アヤがニコっと明るく笑った。その笑顔に、私はすっと背中をただされた様な気持ちになって、すぐさま並だった心を整えた。

「うん。私、夕食の準備しなきゃ」

「手伝おうか?」

「ううん、ソフィアが下準備しておいてくれてたから大丈夫。アヤはお客さんの相手をお願い」

私が言うと、アヤは少し嬉しそうに頷いた。


 


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