過去ログ - ペンション・ソルリマールの日報
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9: ◆EhtsT9zeko[sage saga]
2015/01/10(土) 21:59:02.83 ID:2i7hE443o

「もう、やめてよ!」

私はそのことに気がついて、お皿を流しながらドン、っとカレンに肩をぶつける。カレンはなんでも内容に私のタックルをこらえると

「あはは、ごめんごめん」

なんて声を上げて笑った。

「えぇっと…その、あれだよ、あれ。私たちに気なんか使わないでいいから、この島で生活するんなら考えてみてよ。

 自分の家か、実家だって思ってくれていいからさ」

私は気持ちを整えて、さっきまでの話題に戻しカレンにそう伝える。するとカレンは、なんだか少し驚いたような表情をして私を見やった。

「ど、どうしたの?」

「あ、ん、いや、なんでもないよ」

今度はカレンがハッとした様子を見せて、こすり終えたお皿を私に手渡してきた。不思議に思いながらもそれを受け取って流水で流していたら、カレンがつぶやいた。

「実家、ね…」

それを聞きながら、私は無意識に集中して頭の中に響いてくる声に耳をすませた。だけど、妙な事にカレンの気持ちが伝わってこない。

まるで、水中で何かを聞いているようにくぐもったぼんやりとした感覚だ。

 どうしたんだろう、カレン…アヤとのことで、何か気になることでもあるんだろうか?それともやっぱり私たちに気を使ってるの?

私はカレンと仲良くなれると思っているし、カレンも私にそう言ってくれていた。それに、現にこうしておしゃべりをしていても、楽しいし、気楽でいられる。

母屋の話は半分冗談と受け取られても仕方ないとは思っても、カレンが楽なようにペンションを使ってもらうことは一向に構わないって思うんだけどな…

 そんな私の様子に気がついたのか、カレンが私を見てクスっと笑って言った。

「アヤも、レナ、あんたも、私にとっては大事な友達だ。だから、逆に迷惑をかけたくないって思っちゃうのが私なんだ。

 まぁ、でも、せっかくそう言ってくれるんだから、気楽にはやらせてもらうよ」

そんなカレンから伝わってきたのは、やっぱり、胸が暖かくなるような、穏やかな心地だった。







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