過去ログ - 千早「どうぞ歌ってくださいと、話しかけてきた」
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12: ◆WOrY9N/cxs[sage saga]
2015/01/12(月) 02:28:02.01 ID:r0J+Luue0


 穏やかな眠りのような導入、と思った途端、彼は荒々しく鍵盤を叩きだした。
 旋律は緻密、リズムも精確。背筋は垂直で、手だけが駄々をこねる子供のように振り下ろされている。

 たびたび訪れる静かな眠りに洪水のような恐怖がまた襲い掛かり、ピアノ一つとは思えない音符の羅列が鼓膜を支配する。
 これは鳥籠だろうか?
 だんだんと視野が狭まり、捉えられなくなった側面に死に神が立っているような緊張感。

 死に神が刃をそっと俺の喉にあてがい、血の気が引いて頬に痺れを覚えた刹那――

 ガンッ!!

「!?」

 一番の強打が鍵盤を弾いた。
 あの一撃が死に神を打ち倒し、俺を悪夢から解放したのだ。

 旋律は再び穏やかになり、安心した俺は少しだけふらつき、チェストに手を置いた。

 カシャン――

 プラスチックの音に視線を引かれ、俺は戦慄に瞠目した。

 彼の生活にはドラッグがあった。




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