過去ログ - 阿良々木暦「ありすリコリス」
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18: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/01/16(金) 20:43:45.76 ID:6UJ3zAla0

「――――――――♪」

橘の歌声が街中に響く。

『機械を通した声ならば、橘の声も万人に届くのだ』。

廿楽花は古い怪異だ。
メディアに記録された人間を排除する程の力はない。
例えどんなに影の薄い人間だろうが、メディアに記録した姿は映るし、声は聞こえる。
近代の利器を使用することは、現代に適応出来ていない怪異に対する有効な手段の一つとなる。

そして、声が聞こえれば、その出処である人間の姿も見えるのが道理だ。

「――――――――♪」

「いいぞ、その調子だありす!」

次第に人が集まって来る。

周囲の人間も、遠巻きに眺める人もいれば僕のように身を乗り出して積極的な人もいた。
恐らくは元々の橘のファンの方だろう。

「――――――――♪」

「いけぇっ、ありす!」

「ありすさん、頑張って下さい!」

気付けば、いつの間にか両脇に結城と櫻井がいた。
二人とも、僕がいいと言ったにも関わらず橘を探し続けていたのだろう。
肩で息をし、笑顔ながらも疲労困憊の色が見え隠れする。

……ちくしょう、いい奴らじゃないか、お前ら!
彼女たちに応えなきゃ嘘だぜ、橘。

橘の持ち曲ももうアウトロに差し掛かっている。

一際大きく腕を振り上げ、拳を橘に突き出す。

「お前は誰にも代わりの出来ない一人の人間、橘ありすだ!」

「はいっ、私は橘ありすです! これからも――橘ありすになる為に!」



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