8: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/01/16(金) 20:25:40.59 ID:6UJ3zAla0
003
「ったくよー……なんでオレがこんなヒラヒラした服……」
「あら、そうは言っても晴さん、嬉しそうじゃありませんこと?」
「んなっ……!」
「櫻井さんも、とても良く似合っていますよ」
「ありがとうございます。橘さんは大人っぽいですし、よくお似合いですわ」
ウェディングをその小さな身にまとった天使が三人、鈴のような声で愛らしく笑顔を浮かべていた。
ここは結論から簡潔に言わせてもらおう。
素晴らしい。
そもウェディングドレスとは、成人した女性に、しかも結婚という人生の一大イベントにおいてのみ許された文字通りの一生に一度の特別なものだ。
まあ、世の中には何度も結婚する人もいるが、それはここでは除外しておこう。
その特殊とも言える域まで昇華された着衣である花嫁衣装を、まだ年端も行かない小学生の三人が着ているのだ。
白無垢とはまた意趣が異なるが、文字通り人間における汚れを全く知らない少女たちがウェディングのコンセプトに相応しい純白のドレスを着る。
本来ならば親族や近しい者しか直に見ることが叶わない姿だ。
しかも今回に限っては本来あり得ない小学生の花嫁姿。
素晴らしすぎる。
こんなに素晴らしいことがこの世にあっていいものか。
ああ、本当に心の底から、アイドルのプロデューサーをやっていて良かった。
「おい暦、こんな所でスゲー顔してんじゃねーよ」
「おっと、僕としたことがレディの前ではしたない真似をしてしまったかな」
「今更だろ……くそっ、こんな姿オヤジやアニキに見られたら、なんてからかわれるかわかったもんじゃねえ……!」
「そう言うなよ。似合ってるぞ結城」
純白のドレスを着て結婚式、というのは男の僕ですら理解できる程にテンプレートのような女の子の夢だ。
何せあの結城ですらぶつぶつと文句を言いながらもその口の端は僅かに綻んでいる。
やはりウェディングは何だかんだ言っても女の子の憧れであることに変わりはないのだろう。
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