9: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/01/16(金) 20:27:15.74 ID:6UJ3zAla0
「どうですかプロデューサー、わたくしも似合ってまして?」
「ああ、ばっちりだ。僕のお嫁さんにしたいくらいだよ」
「プロデューサーがわたくしに相応しい殿方になったら、考えてあげますわ」
小悪魔的に笑う櫻井には年齢に不相応な余裕が感じられた。
櫻井に相応しい男か……家柄じゃ確実に無理だから、人間的に成長しろと言うことか。
いや待て、ここは本人に詳しく聞くべきだ。
「……ちなみに、その『相応しい』の詳細は?」
「……眼が怖ェよ、暦」
万に一つでもアイドルと結婚出来る可能性があるというのならば、追わなければ阿良々木暦ではない。
「そうですわね、まずはわたくしのお父様を裸一貫で説得してくださいまし」
「絶対に無理です!」
一体、どこのプロデューサーが担当アイドルの娘さんを僕にください、なんて言うんだ。
櫻井を見る限り櫻井家はかなりの良家のようだし、下手をしたら消されてしまうかも知れないじゃないか。
「あれ、橘は?」
そんなやり取りをしているうちに、橘の不在に気付く。
「あら? さっきまですぐそこにいらっしゃったのに……」
今から撮影だというのに、何処へ行ってるんだ橘のやつ。
「……いますよ、ちゃんと」
「うおっ!?」
いきなり背後から声を掛けられ、思わず飛び退く。
振り向くと、橘がブーケを手に少し不機嫌そうにしていた。
「お、脅かすなよ橘……」
「……私はずっとここにいましたけど?」
「えっ?」
そんな筈はない。
僕が橘を視界から洩らすなんてことはない。
花嫁姿ならば尚更だ。
……いや、まさかな。
いくら橘でもいきなり何もないところから現れる、なんて堀が全力で羨みそうな特技を持つわけがない。
ただ単に、僕らを驚かせようとしただけだろう。
後ろからいきなり驚かせる、なんて子供っぽいが、橘なりのお茶目なのかも知れないな。
そう思えば年齢相応に可愛いものだ。
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