過去ログ - 私のお姉ちゃん
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19:名無しNIPPER
2015/01/18(日) 22:01:20.46 ID:D3zkroco0
最初は些細な綻びだった。私はふとした瞬間に、お姉ちゃんが死んだ事を忘れた。

それは例えば、朝、お姉ちゃんを起こそうと部屋まで行ってしまったり、夜、いつも受験勉強で寝るのが遅かったお姉ちゃんの夜食を作ってしまったりといった行為として現れた。

次第にこんな間違いは増えた。そう、私は確かに間違いである事は認識していたのだ。それでも、私はお姉ちゃんが死んだ事を忘れた。
以下略



20:名無しNIPPER
2015/01/18(日) 22:02:28.05 ID:D3zkroco0

正確な始まりはもう忘れてしまった。でもその幻覚は、誰も浴びていないはずのシャワーを浴びていたり、私が起こすのに抵抗して二度寝をしていたりした。

私は流石にまずいと思った。でも私は異常を認識することを出来ても、それを解消する手段は思い浮かばなかった。

以下略



21:1です再開します
2015/01/19(月) 07:44:01.30 ID:zTBZer9Y0
私はその自慢の頭脳を、異常の解消ではなく、全く逆のベクトルで、つまり異常を推し進めるように使用し始めた。

私はお姉ちゃんのクローンを製造し始めた。

この頃になると、もう両親は私に何も言わなくなった。私の異常は、外から見ても、両親から見てもどうしようも無いと思うレベルに達していた。ちょっと前は両親も私を病院に連れて行ったけど、その頃は完全に放置だ。
以下略



22:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 07:46:24.44 ID:zTBZer9Y0
 研究の開始から2年後、私はクローンであるお姉ちゃん1号を作り上げた。だけどお姉ちゃん1号は、すぐに自我が保てなくなって、自殺した。約半日だった。

「ねぇ、妹ちゃん。私は、誰なの?ねぇねぇ!私は私だよね!私は私だよね!ねぇ!ねぇって!」

 自分の首にナイフを突きつけ、死んでいったお姉ちゃんの姿。血まみれで床に倒れ伏すお姉ちゃんの姿は今も目に焼き付いて離れない。
以下略



23:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 07:48:21.77 ID:zTBZer9Y0
 その半年後、私はお姉ちゃん2号を開発した。今度は前回の失敗を踏まえて、自分をクローンだと認識させないようにした。

今度は結構上手くいった。というか前回がアホすぎた。クローンに自分がクローンで有る事を、認識させて良いはずが無い。色んなSFで言われている事だろう。

でも結局ダメだった。本物のお姉ちゃんの記憶を受け継いだせいで、その内記憶の辻褄が会わなくなったのだ。そして結局お姉ちゃん2号は自殺した。これは1ヶ月だった
以下略



24:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 07:51:22.49 ID:zTBZer9Y0
 20号から現在のお姉ちゃんクローンは、1週間が寿命だ。そしてお姉ちゃんクローンが死んでから約2時間程度で、次のお姉ちゃんクローンを作れる。私は、この2時間程度――今の時間だ――お姉ちゃんが居ない事を耐えれば良いのだ。


お姉ちゃん47号から、おかしな事が起こりだした。それまではきっかり1週間で死んでいたお姉ちゃんクローンが、1週間たたずに、8時52分。つまりお姉ちゃんが死んだ時間に自我を崩壊させだしたのだ。

以下略



25:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 07:53:16.86 ID:zTBZer9Y0
「9月20日12時お姉ちゃん423号活動開始」

お姉ちゃんクローンが動きだした。明日はお姉ちゃんの命日だ。



26:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 07:53:59.38 ID:zTBZer9Y0
 ……それまでなにかを考えていた気がするけれど、記憶が無い。でもよくあることだ。よく分からないけれど、私はお姉ちゃんに言わなきゃいけない気がした。

「お姉ちゃん。産まれてきてくれてありがとう」

「ん?どしたの急に?」
以下略



27:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 07:55:02.71 ID:zTBZer9Y0
センターの点数を報告するために学校に行ってきます。


28:名無しNIPPER[sage]
2015/01/19(月) 09:15:26.45 ID:ing0ACsQO
正直センター云々の話には興味がない


29:名無しNIPPER[sage]
2015/01/19(月) 16:51:22.84 ID:hf68hX8QO
みーまーみたいな感じだな
こういうのってなんていうんだろう


30:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 23:23:47.20 ID:zTBZer9Y0
再開しますというか終わらせます……がその前に訂正

>>25
「9月20日12時お姉ちゃん423号活動開始」
ではなく
以下略



31:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 23:27:24.54 ID:zTBZer9Y0
 1月18日。私はなぜか8時52分という、有給で久しぶりの休日をとったお姉ちゃんにとって、まだまだ寝ていていいはずの時間にも関わらず、お姉ちゃんを起こしに行かなければならない気がした。8時52分。胸騒ぎが止まらない。怖い。なんだか怖い。

 私がお姉ちゃんの部屋に行くと、ベッドには虚ろな顔をしたお姉ちゃんが座っていた。

「あぁ……」
以下略



32:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 23:28:48.76 ID:zTBZer9Y0
 しかしそこで、お姉ちゃんは虚ろな顔をやめて私を強く抱きしめた。

「妹ちゃん………………もう、やめよう?」

「……え?」
以下略



33:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 23:29:29.52 ID:zTBZer9Y0


一体このお姉ちゃんは何を言っているのだろうか。クローンだとかなんだとか。


34:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 23:31:36.75 ID:zTBZer9Y0
「でも、きちんと介入出来なかったわ。精々がクローンの自我を崩壊させるだけ。
 でも命日は力が少し強まった。でも1回目の命日じゃまだあまり何も出来なかった。2回目3回目4回目5回目も駄目。でも6回目の命日つまり今日、私はようやくきちんとクローンに介入出来た」


今日のお姉ちゃんは何かがおかしい。
以下略



35:名無しNIPPER
2015/01/19(月) 23:32:53.83 ID:zTBZer9Y0
お姉ちゃんは私を否定しない。だってお姉ちゃんは優しいもん。私のお姉ちゃんは優しくて、格好よくて、どこか抜けている所もあるけれど、とっても素敵な人だ。お姉ちゃんは、お姉ちゃんは、私のお姉ちゃんは‼私を否定しない!私のお姉ちゃんは優しいし、私のお姉ちゃんは素敵な人だし‼

 お姉ちゃんらしきものが崩れる。私はナイフをもつ。あれ。もう持ってるや。[ピーーー]‼[ピーーー]‼死んじゃえ‼お前はお姉ちゃんなんかじゃない。お姉ちゃんはああああああ私のお姉ちゃんはああああああ‼[ピーーー]!お前なんか!お前なんか!お前なんか!



36:名無しNIPPER[saga]
2015/01/19(月) 23:33:57.63 ID:zTBZer9Y0
「妹…………ちゃん…………現実………………」 あ、死んだ?止まった。止まったよ?あー死んだ死んだ?死んだ?なんで?誰が?お姉ちゃん?お姉ちゃんが死んだ?なんで?いや嘘だ?嘘だ?嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。

 お姉ちゃんが、あの優しいお姉ちゃんが私のことをおいて、死ぬわけないんだもの。

お姉ちゃんが私を置いてくはずがない。お姉ちゃんは酷くない。お姉ちゃんは…………………………………………
以下略



37:名無しNIPPER[saga]
2015/01/19(月) 23:35:50.37 ID:zTBZer9Y0
「1月18日13時。お姉ちゃん424号活動開始」

やっぱり私のお姉ちゃんはこうでないと。



38:名無しNIPPER[saga]
2015/01/19(月) 23:39:22.90 ID:zTBZer9Y0
以上です。ご愛読ありがとうございました。1先生の次回作にご期待ください!
>>29
みーまーは好きです。というか入間人間が好きです。


39:名無しNIPPER[sage]
2015/01/19(月) 23:40:29.54 ID:6dBdWRR/0
乙、なかなかカルト的で良かった
でも、やっぱり幸せになって欲しかった


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