33: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:01:15.85 ID:f61qpw8i0
 「早く行こうよ。時間がもったいないし」 
  
 「うるさいわね。男なら文句ひとつ言わずレディを待つものよ」 
  
 僕たちはあの日、まぶしい太陽の元、きらめく海のなか 
34: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:06:32.82 ID:f61qpw8i0
 「天国なのかな?ここは」 
  
 教室で、僕は君に話しかける 
  
 「知らないわ。でも、走馬灯みたいじゃない」 
35: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:16:17.86 ID:f61qpw8i0
 「...僕さ、思い残していたことが一つあるんだ」 
  
 「かわいそうに。未練を持って死ぬのね。あなたは」 
  
 「まだ、間に合うかもしれないけどね」 
36: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:21:26.32 ID:f61qpw8i0
 彼女はあまりうれしそうじゃなかった 
  
 「そう...そうね」 
  
 それだけ言って、にじんでいく 
37: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:27:28.35 ID:f61qpw8i0
 「君は...どうなんだよ」 
  
 女々しいな、と思いながらも、聞かずにはいられなかった 
  
 「僕のこと、好きとか、嫌いとか、その...どう思ってるのさ」 
38: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:37:46.53 ID:f61qpw8i0
 「言葉なんて所詮記号だもの」 
  
 「思いとはまた別のものよ」 
  
 「それなのに、その『記号』を発音しただけで思いのすべてを伝えたつもりになって...」 
39: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:43:33.53 ID:f61qpw8i0
 自分でもわからなかった 
  
 たしかに未練はないはず...僕ももう消えてなくなるはず 
 なのに... 
  
40: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:50:42.30 ID:f61qpw8i0
 「君の描いた絵にはまだ小さな余白がある」 
  
 見慣れた校舎と、その屋上 
 そこに何か描こうとして、消した跡があった 
  
41: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 15:54:18.37 ID:f61qpw8i0
 あなたはいつも隣にいた 
 小さいころからずっと、そばにいた 
  
  
 あなたとは幼馴染だった 
42: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 16:05:14.88 ID:f61qpw8i0
 だからこそ、思いを伝えることはできなかった 
  
 この関係が壊れてしまうかもしれない 
 いや、どう転んでも、この関係は確実に壊れる 
  
43: ◆.rY2qo2h4vIA[saga sage]
2015/01/18(日) 16:09:18.44 ID:f61qpw8i0
 あなたのことを疑い始めたのは、最近のことだ 
  
 優しいあなたは、今も無理して私といるのかもしれない 
  
 あなたの優しい言葉も、嘘かもしれない 
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