1:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:03:41.99 ID:2BoFFSWx0
「……なんですか、コレっ!!」  
    
  バチン!!! と大きな音を立てて、下衆な週刊誌を思いっきり床に叩きつける。  
  怯えたような顔の唯先輩が、ちらっと視界の端に映った。  
    
  「あ、あずにゃん……」  
    
  何も言わず、キッと唯先輩のほうを睨む。唯先輩はさらに怯えたような目になった。  
    
  「……唯先輩……なんですかその目は。こんなもの、信じているんですか?」  
    
  「そ、そんなわけないよ!! でも……」  
    
  「でも、なんですか」  
    
  「……」  
    
  唯先輩の視線が、私がさっき床に叩きつけた雑誌へと落ちる。  
  思いっきり投げたはずだったのに、憎たらしいぐらいにきれいに、一番見たくないページがちょうど開かれていた。  
  そのページの見出しには、口に出すのもはばかられるぐらいの、きったない言葉で、こう書いてある。  
    
    
  【“魔性の女”中野梓、HTTメンバーと日替わり絶倫レズSEX】
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2:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:06:17.66 ID:2BoFFSWx0
 私と唯先輩は、放課後ティータイムがデビューしたころから付き合い始めていた。 
  
 高校のころから、ことあるごとに抱きついてくる唯先輩。 
 過剰なぐらいの愛情表現をしてくる先輩に最初は戸惑っていたけど、だんだん慣れていった。 
 私としては軽くあしらっていたつもりだったんだけど、それが私の心を大きく占めていることに気がついたのは、大学生活も後半にさしかかったころだったかな。 
3:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:08:45.62 ID:2BoFFSWx0
 「あずにゃん……この記事を全部信じてるわけじゃないよ。でも……前にも何度か話したと思うけど、お泊まりとかは……」 
  
 「十分その記事を信じてるじゃないですか。泊まった覚えはありません。家に行ったのは確かですが……どうしてそういう解釈をするんですか」 
  
 唯先輩は付き合い始めてからちょっと変わった。 
4:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:11:01.08 ID:2BoFFSWx0
 「で、でも!! 話すだけじゃないんだもん、あずにゃんは……りっちゃんとはいつもイチャイチャしてるし、澪ちゃんにはなでなでされてるし、ムギちゃんには抱きつかれてるし……それに、他にもいろんな人に可愛がられてるじゃん。晶ちゃんたちもそうだし、他にも他にも、ミュージシャンとか芸能人とかたくさん……!」 
  
 「あのですね……」 
  
 何から説明すればいいやら。 
5:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:14:26.33 ID:2BoFFSWx0
 放課後ティータイムの先輩方だけじゃない。 
 同じバンド仲間の、恩那組やラブクライシスの方々。お仕事で関わることになった、音楽関係の著名な方々。 
 あるいはテレビ番組等で関わることになった、芸能人やスタッフの方々。 
  
 「いろんな人たちと接して、その人たちの魅力を感じて、その人たちからいただいた愛情は受け止めます。そして、音楽……お仕事でその恩を返していきたい、そう思ってるんです。そう思えるようになったのは、唯先輩や、先輩方のおかげなんですよ?」 
6:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:16:06.16 ID:2BoFFSWx0
 私が律先輩と二人で飲みに行ったら浮気と書かれ。 
  
 「でもあの時りっちゃんに抱きしめられてとろんとした目で見つめてたんでしょ……?」 
  
 私が澪先輩に練習を見てもらって撫でられたら三股と書かれ。 
7:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:17:37.92 ID:2BoFFSWx0
 「うう……だって……みんな、あずにゃんのこと大好きなんだもん。みんながあずにゃんに寄ってきて、可愛がって。昔からそうだよね。しょうがないもん、あずにゃんは可愛いんだもん。でも、あずにゃんと付き合うようになってから、急に胸が苦しくなって……あずにゃんがみんなに向ける笑顔とか、目とかが、いつも本気だから……」 
  
 「ですから、その笑顔とか目は本気でも、気持ちは……いや、もういいです。何言っても、わかってくれないんですもん」 
  
 「あ、あずにゃん?」 
8:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 18:19:02.89 ID:2BoFFSWx0
 「……わかりました。こうなったら、意地でもわからせてやります。私がどれだけ唯先輩のことが好きなのかを」 
  
 「え?」 
  
 すっ、と前に出て、唯先輩の目の前に迫る。 
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