10:名無しNIPPER[saga]
2015/01/18(日) 23:44:15.12 ID:3lgqmWylo
月曜日の放課後は、天気予報が完全に外れて土砂降りの雨。
いつものように部室に集まったみんなに、私は歌詞を印刷した紙を配りました。
紙がみんなに行き渡って、しばらくの沈黙。
最初に沈黙を破ったのは、海未ちゃんでした。
海未「私は、なかなかいいと思います。これからの意気込みと、自分を変えたいという気持ちがよく伝わってきます」
ことり「これってラブライブの決勝に出れることが嬉しいからがんばるぞー! ってことだよね?
花陽ちゃんもすごく出たがってたし、人一倍頑張ってたもんね」
穂乃果「もっと可愛い感じの歌詞が出てくるのかなーって思ってたからちょっと意外だったけど、ちゃんと完成させるなんてすごいよ花陽ちゃん! 真姫ちゃんはどう思う?」
真姫「私は……花陽がこれでいけるって言うならいいけど。書いたけど恥ずかしくて歌えないっていうのだけはなしね」
花陽「あはは……確かに恥ずかしいけど、そこはなんとかがんばってみるよ。……凛ちゃんは、どう思う?」
凛ちゃんだけがずっと言葉を発していないことが気になっていたので、自然な流れを装って尋ねてみました。
凛「……かよちん。一つだけ、聞かせて」
凛ちゃんは私のそばまで来たかと思うと、すぐ近くで私の目を見つめました。
どうしてか私のしたいことをいつも見透かされちゃう、純粋で優しいその瞳。
凛「かよちんは、本当に今これを一番伝えたい? ステージの上から、知って欲しいって歌に乗せたい気持ちなの?」
やっぱり、凛ちゃんは私の心の奥を見透かしていました。
でも、みんな言葉にはしなかったけれど、スケジュールの限界が迫っていることを悟っているみたいで……。
それに、作った歌詞に嘘が混じっているわけでもなければ、みんなにこれ以上迷惑をかけられないというのも本音です。
花陽「……うん。本当、だよ。自分がラブライブの決勝でライブが出来るなんて信じられないし、優勝するためにも自分を変えたいの」
この言葉にも当然、嘘偽りはありませんでした。
いえ、そう思い込もうとしていました。
凛「……嘘。嘘ついてるよね、かよちん」
花陽「……えっ」
凛「気づいてた? また、指合わせてるもん」
すっかり忘れていました。
あの日にも凛ちゃんに指摘された、私の癖……
封じ込めていたつもりの迷いは、いつの間にか胸の奥からするっと抜け出して、私の両人差し指に集まって……指先同士を結びつけいたのです。
花陽「……」
真姫「花陽……」
ことり「花陽ちゃん……」
海未「花陽、凛の言っていることは本当なのですか?」
花陽「ごめん……なさい……」
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