過去ログ - 姫「王子の代わりに戦う使命を負った」
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51: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/01/23(金) 15:24:36.26 ID:MbiRcDMj0
父は最近体の調子が悪く、顔色が悪い。
それでも魔王としての責任からか、それとも人に弱みを見せるのを嫌う性格からか、自分が城に戻った時も威厳たっぷりに出迎えた。

魔王子「父上、謀反人が現れました」

魔王「ほう…?」

魔王子「俺が宿泊していた宿が襲撃され、呪術師と名乗る魔物に命を狙われました」

呪術師が兄王子派の者かもしれないというのは伏せておく。
証拠のない不確かな情報だし、父に心労をかけさせたくなかった。のだが…

魔王「ふん…我はまだまだ現役だ、早まった馬鹿が…」

魔王子「父上…」

魔王は次期魔王候補の派閥争いだと、気がついたようだ。

魔王子「父上、俺は争いを好みません。兄上が次期魔王であると父上の口から…」

魔王「甘えるな阿呆」

魔王子「!?」

魔王「お前は命を狙われたくないだけであろう?自分の身は自分で守れ、我が息子ならな」

魔王子「いやしかし…無益な内部争いなど…」

魔王「有益かも知れんぞ…争いでしか得られぬものもある」

魔王子「…」

父も争いの末に様々なものを手にれたと言われている。
魔王の座も、名声も、人間達に女神のようだと讃えられていた母も――
そんな豪傑な父は自分に、我が息子なら戦え、腑抜けるようなら死ねと言っている。実の親子でも、彼はそういう性格だ。

魔王子(それでも俺は――)

沢山の命を散らしてまで何かを手に入れたいとは思わなかった。


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