1: ◆njLdTg/Bz6[saga]
2015/01/23(金) 20:48:32.38 ID:bWGpac4so
空が綺麗なオレンジ色に染まった夕暮れ時。
346プロのカフェテリアで、お気に入りの席に座って。
まゆは一人、ぼぉっと空を見上げていた。
「シンデレラプロジェクト、ですかぁ……」
思わず口をついて出るのは、プロデューサーさんから聞かされたお話。
来年の春頃に始動する、346プロアイドル部門の新プロジェクト。
オーディションやスカウトを通じて新人アイドルとなる女の子を一から集め、デビューさせる。
その企画の担当者として、プロデューサーさんに白羽の矢が立ったらしい。
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2:名無しNIPPER
2015/01/23(金) 20:57:17.38 ID:lks2oJquO
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3:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 20:58:51.41 ID:bWGpac4so
当然ながら、片手間で出来るような楽な仕事ではなくて。
始動させるまでも大変なら、始動させた後はもっと大変になりそうなプロジェクト。
4:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:02:24.44 ID:bWGpac4so
「お待たせしました、ホットコーヒーです。ごゆっくりどうぞ」
そう言った店員さんに会釈を返して、まゆはカップを持ち上げる。
5:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:04:21.99 ID:bWGpac4so
たとえば二人でカフェに入ることがあった時。
「まゆも同じものを」
6:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:05:53.62 ID:bWGpac4so
『眉をひそめるまゆちゃん……ふふっ』
不意に、頭の中に楽しそうな“あの人”の顔が浮かぶ。
7:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:07:22.89 ID:bWGpac4so
「眉をひそめるまゆちゃん……ふふっ」
また“あの人”の声が、脳内に響いて――――?
8:名無しNIPPER[sage]
2015/01/23(金) 21:18:16.33 ID:Dx9LcVmF0
そういや、今日のアニメじゃまゆも出るんやな
9:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:19:58.08 ID:bWGpac4so
「店員さん、こっちに持ってきてください」
お盆を持った店員さんに、笑顔で手を振り振り。
10:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:20:47.82 ID:bWGpac4so
よりにもよって、注文はまゆと同じもの。
何も入れないまま、楓さんはカップを掴む。
11:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:22:24.61 ID:bWGpac4so
「にが……。やっぱり私には荷が重かったみたいね……ふふっ」
そんな風に言いながら、楓さんがミルクとお砂糖をコーヒーに入れる。
12:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:24:22.67 ID:bWGpac4so
――高垣楓。
彼女は、まゆが欲しいものを全て持っていて。
13:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:26:24.20 ID:bWGpac4so
一方のまゆは、どうだろうか。
クールな大人のように振舞おうとすれば、多分できなくもない。
14:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:27:46.09 ID:bWGpac4so
男女の理想の身長差というのが、よく女性誌なんかでも話題になったりする。
まゆが何かで見た時の記事には、確か15cm前後。
15:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:28:21.51 ID:bWGpac4so
綺麗なだけなら、よかった。まゆは、可愛さで勝負すればいい。そう思えるから。
けれども、楓さんは時折、まゆも嫉妬してしまうような可愛い面を見せる。
16:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:29:39.38 ID:bWGpac4so
――ずっと恋焦がれていた、年末ライブでの「お願い! シンデレラ」のセンターポジション。
でも、選ばれたのはまゆではなく楓さんで……。
17:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:30:13.65 ID:bWGpac4so
――シンデレラプロジェクトのことを、プロデューサーさんが話した時。
たった一人だけ、表情を変えていなかった楓さん。
18:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:30:50.81 ID:bWGpac4so
アイドルとしても、恋する乙女としても。悔しいけれど、勝てそうになくて。
それでも、これまで自分の中にある弱い気持ちに気付かないフリをして頑張ってきた。
19:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:31:36.85 ID:bWGpac4so
アイドルと、担当プロデューサー。
その関係性が無くなってしまったら、まゆと彼を繋ぐものは他に何があるのだろう。
20:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:32:11.02 ID:bWGpac4so
「まゆちゃんは――」
これまでずっと黙っていた楓さんが、口を開く。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/01/23(金) 21:33:05.37 ID:bWGpac4so
「いい機会なのかな、と思って」
そう答える楓さんは、世間の人がイメージするような大人な雰囲気で。
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