122: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/17(火) 19:24:43.28 ID:Hye/S/uT0
この時代に適応していく内に、思っていたことがある。
魔人「俺はまだ償っていない」
俺は人を殺してきた。
魔物と人間が対立していた背景があったのだから、それは罪と呼べないのかもしれない。
だが――
魔人「何も償わないまま緩やかに老衰していくってのは、おかしな話だよな?」
決して罪悪感に囚われているわけではない。ただ、自分の中で納得できないだけ。
人を殺し、人に憎まれて、人に殺されるのだと当たり前のように思っていた。だが時代は俺を忘れていく。俺が人を殺したという事実だけが残り、俺は裁かれずに放置される。
魔人「人殺しが何事も無かったかのように、平和な時代に適応していいわけがない」
僧侶「でも…人間と和解した魔物は沢山います」
魔人「そいつらは許された。俺は忘れられた。これは全然違う」
許された奴らは何らかの形で償いを済ませている。
魔人「このまま生きていくのは、俺自身が気持ち悪いんだよ」
僧侶「…やっぱり真面目な方ですね、魔人さんは」
魔人「だから、真面目って言うのやめろ」
平和に適応していても、その言葉はむず痒かった。
魔人「普通の人間が地獄に落ちりゃ肉体がもたんかもしれないが、俺なら耐えて戻ってこれる」
僧侶「…」
魔人「生きている間に、罰を受けてこようと思う」
僧侶「私は――」
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