56: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/12(木) 19:38:20.17 ID:zorRjnWi0
飯を食って片付けをしたら、いつも通り俺は女の右側に立って散歩を始めた。
今日は遠出をする予定なのでペース配分を考えているのか、いつもよりゆっくりめだ。
僧侶「歩く早さを変えたら、見える景色も変わってきますねー」
魔人「お前、そんな鋭い感性の持ち主じゃないだろ」
僧侶「でも違うんです」
魔人「どう違うんだ?」
僧侶「…うー、言葉で説明しようとしたら頭痛くなってきましたー」
魔人「わり」
しかし女の言うこともわかる。俺は大抵いつも走り回っていたから、景色なんて気にしたことはなかった。
だけどこの女の散歩に付き合うようになってから、色んな景色が目に入るようになった。
森の中では鳥が木に巣を作ったり、虫が葉を食ったり、色んな生き物が森の中で共存し「社会」を作っている。
注視せずに見ていて毎日同じように見えていた光景でも、こうやってゆっくり歩くことによって、ちょっとした変化を感じれるのだろうと思った。
僧侶「そういえば魔人さんも野生としての感性も鋭い種族だそうですが」
魔人「まぁ、そうかもなぁ」
少なくとも生物として、人間よりは耳も鼻もずっといい。
自分にとっては敵襲に備えたり、敵を発見する為の能力でしかなかったが。
僧侶「じゃあ魔人さんは、私よりも沢山の自然の流れを感じているんですね」
魔人「…」
どうなんだか。
その能力があっても、自分にその気が無ければ感じ取れるものではない。
魔人「ま、小動物の1匹でも近付いて来れば教えてやるよ」
僧侶「それは嬉しいです」
森には色んな生物が集まっているが、どんな生物なのかは大体気配でわかる。
虫には気付かないかもしれないが、鳥か、小動物か、獰猛な獣なのか――
魔人「――!」
――人間なのか。
魔人「人間の気配がする…俺は隠れる!」バッ
僧侶「あっ」
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