過去ログ - 唯「ピンク・ビック・バスタオルを買いに」
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12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/07(土) 19:30:33.59 ID:HzA0YEX8o
というかあずにゃんバスタオルひとつでよくいろいろ覚えてるね!
まあ。
と、あずにゃんが言うのでわたしはそばタオル一つ、ひょいっととりあげて、聞いた。
これは、いつのバスタオルかわかる?
あずにゃんはちょっと黙ったあと、ため息をついて、しかたなく言うような感じで言った。
それは、あれじゃないですか、ほら近所のデパート、駅の方じゃなくて、そのお正月のバーゲンセールで買ってきた。
あの混んでてヒールで足を踏まれて怒ってたじゃないですか、一生ヒールは履かないって。そのくせヒール買ってきて。
はーそんなことがねー。
唯先輩が買った話ですよ。
うん。
ひとりで。
うん、じゃあ、これは、これは。
ゲームじゃないんですから。
いいから!いいから!
それは、実家のですよ。唯先輩の。子供の頃から使ってたって、それも忘れたんですか?
ふむむ。なにしろたくさんあるからねえ。
もういいですか。
よくない、よくないよ、あずにゃん。
はあ……。
それみんな覚えてるんだ?
まあ、その……ほとんどは。
じゃあー……。
いやですよ。
え?なにが?
唯先輩これから飽きるまでみんな聞くつもりじゃないですか。
どうかなあ。
やですよ、ばかみたいじゃないですか。
だってばかだし。
ばかじゃないもん。
わたしが?
わたしが!
あー、あずにゃんがね。
唯先輩のことだと思ったんですか。
うん。
唯先輩はばかですよ。唯先輩にはなりたくない。
一日くらいいいのに!おねがい!
はあ。次はどれですか。
えーとね……。
あずにゃんはほんとにみんな覚えてて、色とりどりの、大きさも形もほんのちょっとずつちがうバスタオルと、
それが持ってる記憶をみんな覚えてて、わたしはいろんなバスタオルを指差してはお話を聞いた。
それはほんとはわたしのだったのに、わたしはみんなあずにゃんから聞いて思い出した。
それでわたしは言った。
これってさ、どこへでも行けるよね!
へ?
こうやってあずにゃんから話を聞けばさ、どこへだって行ったことになるよ!
ていうか、行ってるんですよね。唯先輩は。
あ、そっか。
はあ。
うーん。
でも、そですね。わたしは……ほら、もし、唯先輩がほら、あの例のなんでしたっけ。ビック……。
ピンク・ビック・バスタオル!
そう、それがほんとに世界のどこかのデパートにあるとして世界中のデパートを回ったらわたしは世界中どこへでも行けますね。
そだねー……あ、でも、あずにゃん必要ないじゃん!空飛べるんだから!
ま、そですね。
外では雨風が鳴っていた。
がたがたぴしぴし。
がたがたぴしぴし。
それから、こらえきれなくなったみたいにふふってあずにゃんは笑った。
結局わたしはその夜、ずっとバスタオルのなかであずにゃんのお話を聞いていた。


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