過去ログ - 【ラブライブ!】user名:泥だらけのハイヒールを履いた元踊り子のための薬用石鹸
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/09(月) 22:07:31.74 ID:dwilK1n2O
9. ハイヒール・エリチカさん

エリチカさんは自室のベッドの上でボンヤリしていた。

先ほどまで妹と妹の友達の前で、高校のプレゼン原稿を読み反応を見ていたのだが、
途中で寝だしてしまった彼女たちに怒りもわかないくらいだった。

「当然よね......魅力がなくて、アピールするどころか、その歴史をツラツラと並べているだけだなんて」

左手を部屋の電灯に伸ばす。

指の間から光が漏れて、眩しい。

ホロホロと理想が溢れ落ちていく。
掴み取りたいのに、自分の意思とは裏腹に、掴み取れない。

うんざりして、伸ばした手でそのまま眼を覆った。

真っ暗なまぶたのその裏側で、先ほど見た幼い自分のダンスが映し出される。

自分のバレエのダンスをこんな風にして再び見ることになろうとは、あの頃のエリチカさんは思ってもみなかった。

「あの頃は、こんな気分の時でも私にはお祖母様の手が頭を撫でてくれていた......」

エリチカさんがそのだうみから見せられた動画は、エリチカさんが最後に臨んだバレエのコンクールのものだった。

あの日エリチカさんは帰ってきてから、幼い頃のビデオテープが保管されている棚を調べた。

どれもこれも角がピシャッと揃えて並べられ、かすかにホコリを被っていたが、
該当するビデオテープだけが少し飛び出ており、ホコリが拭き取られているらしく、
まるで新品のように黒々とした輝きを放っていた。

エリチカさんは妹を問い詰めることはしなかった。
希ちゃんにも、この話題をすることをしなかった。

希のことだ、きっとこの行動には何かしらの意味があるのだろう

そして、その意味に私は薄々気が付いている......

自問自答する。

今の私はあんな風に誰かのために踊れるかしら

そして、何よりも自分自身のために踊りたいかしら




「無理よ......そんなの。私はもうあの頃のような私じゃない......今の私は」

今のエリチカさんは、
誰よりも高いハイヒールを履いている。

「踊れないわぁ......今のこんな私じゃ......」

そしてなにより、

今のエリチカさんはミューズにとって、

誰よりも完成度の高い悪役になってしまっていた。

「ハイヒール......。確かにこの学校でそんなものが似合うなんていうのは」





私ぐらいしか、いないのかもね。


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