過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/02/14(土) 10:49:44.55 ID:638Opjkd0
「――なるほどな…… どうりでお前が木ノ下さんと会話できるわけだ」
「失礼な……」
どれくらい経ったか…… 俺は朱彦に自分と千春の関係を話した。
混乱を招かないように父さんのことやあの怪物のこと、同じ家に住んでいることなどは告げなかった。
昔からの関係…… 幼馴染というようなニュアンス、そういう体で、それを踏まえて俺が彼女に酷いことを言ってしまったと説明した。
「そうか…… 感情を制御できず口に出してしまうのは若者にはよくあることさ」
「年長者みたいに言ってるけど、俺たち同い年だから……」
「それでお前は今どう思ってる?」
「もちろん取り返しのつかない大変なことを、馬鹿をしてしまったと思ってる」
「そうだな…… それで?」
「――それで?」
「ああ。お前は自分の行いを反省できた。そして次はどうしたいんだ――?」
――どうしたい…… 次に行うべきことは…… 決まってるさ。
「――謝りたい…… 許されるものではなくても…… 千春に謝りたい」
「そうだな。ずっとお前と支え合ってきた仲みたいだからな」
「支え合ってきた?」
「そうだ。恐らく木ノ下さんも何かしらお前からの手紙を頼りにしてたんじゃないのか?」
俺の、返事を……?
「じゃないと手紙なんてずっと続かねぇって。一方通行じゃな…… お前はどう思ってたのか知らないけどよ。お前からの返事を待ち侘びて、頼りにして、そうやって木ノ下さんも今まで生きてきたんじゃねぇのか?」
「頼りに…… 俺の返事を……」
「そうだよ…… ったく、羨ましくて絞めてやりたいぜ鈍感野郎め」
――俺の返事を…… そうなのか? 千春……
(なかなか友達ができなくて。和間くんはどうしていますか? また会いたいです)
(オレも友達いないからうまくアドバイスできないけど…… 千春なら大丈夫。勇気をふりしぼって声をかければ、千春はやさしいし、きっと向こうも喜んで友達になってくれるよ)
(この前はありがとう! 私、和間くんのおかげで友達ができました! ありがとう和間くん! 和間くんのおかげで友達ができて、毎日が楽しくて――)
――あ。
今まで部屋を整理した時その都度…… 自暴自棄になっては何度も何度も捨てようと思った…… しかし捨てられなかった千春との文通の数々。
それを一枚一枚呟いて確認していたあの時の俺。
大切な記憶が…… 灰色に覆われた全体の片隅、ほんのこれっぽっちの所で鮮やかに輝く宝石のような思い出が。
――今、俺の脳裏に蘇って強く訴えかけてくる。
「謝らないと! 俺――」
「おう。覚悟が決まったみたいだな」
そうだ。俺のしたことは許されるものじゃない…… 許してもらえるかは分からないけど、でも人間として…… 謝らないと! そして支えてくれている彼女へ感謝の気持ちも伝えるんだ!
「ここぞという時に決めてやるのが男だ。頑張れよ? お前の為、木ノ下さんの為、そして俺達男子の為にもな」
「最後の一言は余計だ」
「冗談だよ、冗談――」
そうやって朱彦は「ハハハッ!」と爽快に笑ってからパンをかじる。
俺もつられてむしゃりとかぶりついた。
彼のおかげで、今になって食欲も沸いてきた。
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