過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/02/14(土) 11:07:25.56 ID:638Opjkd0
「――おかしい」
俺一人だけの閑散としたリビング。
そう、俺一人「だけ」なのだ。
「もう18時を過ぎてるのに……」
いつもならとっくに夕飯の準備にとりかかっている時間なはずだ。
あれから真っ直ぐ帰宅してきた俺。
最初の異変は屋敷に鍵がかかっていたこと…… いや、施錠されているのは当たり前だが、問題はそこじゃない。
千春が先に帰ってきていれば玄関は開いているか、また、呼び鈴を鳴らせば開けてくれるという状態なはず。
しかし鍵はかかっていて、呼び鈴に誰も反応しない。つまり無人だったのだ。
なので仕方なく、合鍵で玄関扉の施錠を解いて中に入った。
二つ目の異変は千春から何も連絡がないということ。
ここまでならまだ、千春は「放課後に友達と遊んでいる」とか、「夕飯の買出しに出ている」とかで真っ直ぐ帰って来なかった、寄り道しているという結論に落ち着く。
しかし現在は18時を回り19時に向かっている。
都会の人間なら「まだまだ夜はこれからだぜー」とか言う状態かもしれないが、ここは市の郊外地区で田舎町。田舎の夜は早い。遊びに行くとなれば恐らく市の中心。歩いて行くのも不可能ではないが現実的ではない。時間がかかりすぎる…… よって電車か何かを使う。
そうなれば「遅くなるから夕飯は〜」などと連絡を入れるはず。
内戦状態とはいえ(俺が全面的に悪いのだが)、いくらなんでも連絡の一つは寄越すだろう。
「くそ…… なんで未だにメルアド聞いてなかったんだろう」
それが悔やまれる。携帯電話の電話番号はお互いに知っているものの、千春のメールアドレスは知らなかった。
電話もかかって来ないし…… 本格的に心配してきた。
反抗期の娘ならまだしも、千春はそんな人間じゃない…… 何かあったのかもしれない。
(――いや、待てよ)
俺とは内戦状態だ…… ということはあっちも話しかけづらいし、おじさんの方に連絡を入れているかもしれない。おじさんは屋敷にいないようだから、まだ研究室かどこか外に出ているということだろう。
「おじさんに連絡してみるか――」
おじさんの携帯電話の電話番号も教えてもらっていたから、仕事中だったら申し訳ないけど電話をかけてみることにする……
携帯をポケットから取り出してさっそく電話をかけた。
――でも、千春がおじさんに連絡を入れていたなら、俺の方におじさんから連絡が入るはず。
いや、仕事が忙しくて忘れていた可能性もあるし。
というか、そうであってくれ――
「――あ、お仕事中すみません…… 和間です」
奇跡的に数回の呼び出しでおじさんは出た。
千春からそういった連絡が入っているかを単刀直入に聞く。
「え…… 本当ですか?」
しかし、結果は――
「分かりました。千春に電話してみます…… はい、はい…… 分かりました。ありがとうございます。失礼します」
否、だった。
おじさんの方にも何も連絡は入っていないらしい。
嫌な予感がひしひしとやってくる。
ただの余計な危惧であって欲しい……
おじさんの方は「もし電話して反応がなく、少し経っても折り返しの電話がなかったらまた私に連絡してくれ。私からも連絡を入れてみるよ」ということだった。
その助言に従い千春に電話をかける。
もう喧嘩してるからとか、そんな悠長なことを言っている場合じゃない。
「――出てくれ…… 千春」
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