過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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61:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 12:27:28.55 ID:VF8Hn4hI0

 おじさんが出て行って、そして部屋には俺と千春、二人きり――


「――げ…… もう11時過ぎてる」

 何だか気恥ずかしくて、沈黙に耐え切れずに壁掛けの時計を見る。
 いつの間にか深夜帯に入っていた。

「そうだね――」

 千春もどこか緊張しているような様子だった。
 応答がぎこちない。

「明日の課題やってないや」
「――私も」
「なんかもう眠いし、明日学校に早く行ってやるかな」
「私も、そうしようかな――」

 何だろう、この緊張感。
 仲直り出来たはずなのに、何故か妙な緊張が俺達の間に存在している。

「「――あの」」

 挙句の果てに出だしの言葉が重なってハモる始末。

「千春から、いいよ」
「そんな……! 和間くんから――」

 実にぎこちない……

「あのね……」

 千春も沈黙に耐え切れなくなったのか、やがて重い口を開いた。

「――ごめんね、和間くん」
「な……! どうして謝るのさ!?」
「まだ怒ってるのかな…… って」

 頭を下げる千春。
 そんな…… 千春は何も悪くないのに。

「俺の方こそ、千春は何も悪くないのに…… 当り散らして、酷いこと言って本当にごめん!!」

 仲直りは済んだ…… はずだが、しかし混乱の最中でうやむやになっていた部分はある。
 もう一度、改めて深く頭を下げて謝罪した。

「そうだよ和間くん!」
「――えっ」

子供っぽくいたずらな、可愛げのある語調。
 呆気に取られて頭を上げる。

「和間くんは、和間くんの言ってたような気持ちで私が今まで手紙を送ってたと思ったの?」
「いや…… ごめん」
「そんなわけないよ! だって私は…… 最初だってその…… そうだよ!
和間くんがかっこいいなって! それで手紙のやりとりしたいなって思ったんだもん!
和間くんからの返事も大事にとってあるんだから!!」
「あの…… 千春?」

 やけくそのように千春は声を張る。
 顔を赤らめて、頬をぷくりと膨らませて…… どうやら自分がとんでもないことを口走ってしまった自覚が――

「――っ!! 和間くんのばか……」

 自覚はあったようだった……

 言い切って顔を俯かせる彼女を見ると、こちらも恥ずかしさが込み上げてきて……

「ありがとう」

 それしか言えなかった。




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