29:名無しNIPPER[saga]
2015/02/20(金) 03:18:16.33 ID:YN4vLNeW0
翌日。こうなることを分かっていたかのように用意されていた車に私は乗り込もうとした。
咲を置いていくことに勿論未練はあるが、こうでもしないと私だけでなく、咲もダメになる。
私はさておき、咲がダメになってしまうのだけは耐えられない。だから、許して咲。
いつか、あなたが全てを理解できる年になったら。全ての真実を告げるから。
「ねえ、お姉ちゃん。一つだけ聞かせて?」
「私のこと嫌いになったの?」
「好きじゃなかったの?」
「………………」
何も応えることは出来ない。振り向くことは出来ない。そうしたら、私の決意が揺らいでしまうから。
背を向けてさえいれば、涙でぐしゃぐしゃになったこの顔を見せなくて済むから。
「…もういいもん!お姉ちゃんなんか知らない!」
その言葉と共に、咲は玄関を離れ自分の部屋へと駆け出した。
だから、咲は知らない。その言葉と共に、私が咲に言葉を掛けようと振り返っていたことを。
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