過去ログ - 阿良々木暦「えりハーミット」
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18: ◆8HmEy52dzA[saga]
2015/02/25(水) 21:01:37.96 ID:DLa1I0Qh0

「あ……あ……!」

ぷつん、と音がした。

それはテレビの電源が落ちる音にどこか似ていて、お誂え向きに目の前が真っ暗になる。
次いで周囲の景色が音もなく変わって行き、事務所はあっという間に無機質なアイボリーの壁で覆われた部屋となった。
四畳半ほどの窓すらない空間の中、パソコンと椅子だけがある。
寂しいけれど、何処か落ち着く、そんな部屋。

「……水谷」

そんな中、阿良々木さんは動揺した素振りもなく困ったような苦笑いを浮かべ、わたしを見据えつづけていた。

ここはきっと、貝殻の中だ。

他人を怖がり、他人に見出され、他人に導かれ、他人の力を借り、他人に支えられてきたわたしには相応しい。

「わたしは……ここから出たくない……!」

わたしの名前は水谷絵理。

どこにでもいて、どこにもいない女の子。

わたしは、宿借に囲われた。

本当の自分がどこにいるのかすら。

わからない。



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