9:名無しNIPPER
2015/03/08(日) 00:59:01.28 ID:j6K9ZfLpO
川からでて身体を拭うと、徐々に身体に熱が戻る。
今日の晩は私の払いに、という旨を副長に伝えさせると、部下たちから歓声が上がる。
皆が服を着終えるのをまって、門をくぐる。
もう人通りはすくなく、家々の明かりだけがぼんやりと浮かんでいる。
静かな街で唯一明々喧々としているのが酒場通り。
多くの店が軒をつらね、酔客が行きかい、一本入れば男の欲望を簡単に満たせるそんな場所。
店の中からは酔っぱらいの歌だの、皿の割れる音だの、はたまた喧嘩だのずいぶんと騒がしい。
その外れにある鷹の紋章を掲げた店が今晩の我々の腹をみたしてくれる店だ。
辺境の方では少ないが、こういう大きな街では身分ごとに用いる酒場がだいたい定まっている。
鷹の紋章は騎士の印であり、我々のような外様の騎士隊であっても例外でない。
が、こういう大きな街では得てして問題がおきる。
ここはそうでないといいのだが……
念のため、部下にひとつ命令を下してから、半ば祈るような気持ちで扉を開ける。
と、騒然としていた店の中が一気に静まり返る。
ああ、この街もだめだったか。
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