過去ログ - 新戸緋沙子「私は、お前のことが好きだ。幸平創真」
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35:名無しNIPPER
2015/03/15(日) 21:15:42.39 ID:cHhF112Q0
「さっきは、その、本当に感謝している。お前には、助けられてばかりだと思う」
「ん?俺なんかしたっけ?」
「とぼけなくても良い。スタジエールの時も、とぼけた振りをしていたが、お前は私の背中を押してくれた」
「……」
「私は……」

1つ呼吸を溜める。
生まれて初めての、そして最初で最後であって欲しい言葉を紡ぎだす。

「私はお前のことが好きだ。幸平創真」
「何時からかは分からない。でも、今日、ようやく分かった。分かることが出来た」

「は?え?」

言い終わり、ふーふー、と息を荒げる。
言った。言うことが出来た。心臓の音は相変わらず煩いままだ。
でも、言ってしまったことでどこかスッキリしたものも胸の中にあった。

見ると幸平創真は珍しく頬を赤くして狼狽えている。
なんかその様が、ちょっと可愛いと思った。

「いや、え?あー、えっと、すまん新戸。初めてこんなこと言われたから、その、なんて返事したら良いか……」
「初めてなのか……?」
「あー、おう。今まで料理ばっかやってたから、その、な」
「そうか、私が初めてか」

フフ、と思わず笑い声が漏れる。
なら今の幸平創真はフリーということだ。恐らく付き合うとかそういうのは考えたこともなかったんだろう。

「幸平創真」
「は、はい」
「どうせ今は色良い返事は貰えんようだな。考えたこともなかったみたいだし」
「あー、うん。その……すまん」
「構わない。だが」

グッ
チュッ

思いっきり胸倉を掴み、そのまま彼の唇に向かって私の唇を差し出す。

「!?!!???」
「ぷはっ!私のファーストキスだ。これが、私の覚悟だ。良いな幸平創真」
「え、え?あ、はい」
「いつか、返事を聞かせてくれるのを待ってるぞ。では、またな」

カッカッカッと足早に幸平創真の元を去る。
未だ困惑した声を上げているが、私は胸の内がすごいスッキリした気持ちだった。
部屋に入り、枕に顔を埋め、バタバタと足をバタつかせる。

「まさか、フフ……」

きっと幸平創真は悩むだろう。多分私の何倍も、何十倍も。
それで良いのだ。私を悩ませた罪を存分に償えと思う。

「さて、幸平創真はどんな答えをくれるのだろうか」



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