過去ログ - 真姫「かたわれアイスキャンディー」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:21:47.37 ID:c860Jp7io
So we must be careful about what we pretend to be.
(ゆえに、人は自らが演じるものについて慎重に考えざるをえない。)
――Kurt Vonnegut, “Mother Night”
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:23:13.82 ID:c860Jp7io
◆ ◆ ◆
チューペットアイスの食べ方はにこちゃんの部屋で教えてもらった。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:23:40.40 ID:c860Jp7io
ぱきん、ぱきん。
あの音と、
付け根からくゆらせた細くて冷たい煙。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:24:07.01 ID:c860Jp7io
それは質の悪いフルーツジュースをさらに薄めたような味で、
前ににこちゃんが家の近くのビッグエーで
線香やライターと一緒に買ってきた十本入りの最後の一本だった。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:24:33.60 ID:c860Jp7io
食べ方を覚えた頃、あの子の肌の白さが好きだと気付いた。
夜のように深い髪の色と違って、
まっさらな肌はひたすらまばゆかった。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:25:00.28 ID:c860Jp7io
音の速度で空を駆けながら、捨てた夢まで輝き出す頃、
それなのに、
どこかで積んだ小石の崩れる音が聞こえた。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:25:26.89 ID:c860Jp7io
コップに残した方のアイスの傷口から汁が涎のように滴りはじめている。
私もプラスチックに噛み跡をつけて氷の汁をしぼり出しながら、
少し伸びた髪を指に絡ませていた。にこちゃんまだ来ない。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:25:53.55 ID:c860Jp7io
髪の毛を抜く癖は中学に入るまでに忘れた。そのはずだった。
ピアノの発表会の前夜。
日能研の統一テストの帰り道。
話の合わなくなったクラスメイトと、給食のバケツをこぼした日の昼休み。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/03/15(日) 20:26:20.14 ID:c860Jp7io
「ひどい頭になってるわよ、あんた」
玄関先で出迎えるなり、にこちゃんがそう云った。
ほら、貸してみなさい、
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