過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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140:名無しNIPPER[saga]
2015/04/05(日) 03:31:29.35 ID:97AaXMgaO

ネリー「サキとは……何も求めないでいられるから」

 咲が入学して間もない頃。ネリーは日本の気候にまだ少し馴染めず、夜風に当たりすぎて体調を崩した事がある。
 国許とは違う勝手に療養にも苦心して、つい薬や器具を探すのにどたばたと騒がしくしてしまったのだ。
 当然、日頃騒音に悩まされていた咲が文句を言いに来たのだが。

ネリー「サキって根がお人好しだから、具合が悪いネリーをみて慌てちゃって」

ネリー「あの頃はまだ刺々しかったんだけど……一人しかいないなら看病するって聞かなかったんだよね」

 今の押しの弱い咲からは想像しにくいが強引に上がり込んで、あれこれと世話を焼いていった。
 当時の咲は周囲に壁を作っていてつんけんした態度が目立つ存在だったのだが、ネリーの目が届いてないと思っているところでは素に戻り、あたふたとしていたのだ。

ネリー「熱で意識が朦朧としてたからわからないと油断してか、気弱そうに心配してたな。……ばっちりみてたけどね」

ネリー「んでそのときに思ったんだ。お金の絡まないところでネリーを気にかけてくれる人って久しぶりだなって」

 日本に来てから、お金に絡まない、仕事ではない感情を持つ事は滅多になかった。誹謗中傷のようなものを除いて、持たれる事も遠ざかっていたと言っていい。
 そして、日本に来る前、麻雀で身を立てようと決意してからも、目に入るのは落とし落とされる相手ばかりで、個人として付き合おうと考える余地は残されていなかった。
 ビジネスライクな関係や競争する関係に、あまりに毒されていたのかもしれない。
 咲のささやかな優しさに触れて、ふとネリーはその事に気づいたのだ。

ネリー「それにサキって案外可愛いと思ったんだよね。今はもう普通に可愛いけど、前はもっとつんつんしててギャップがあったっていうか」

ネリー「あと……サキは私に何も求めてない。歓心を得ようだとか取り入ろうだとかそんな気持ちはこれっぽっちもなくて、無理して好かれようとも思ってない」

ネリー「私も……私も、お金をもらったり、技術を盗み合ったりするんじゃなくて……ただ隣にいて、笑いかけてくれるサキが好きなんだってわかったから……」

 ぽつり、ぽつりと咲と打ち解けた思いでを話す。
 そうするとネリーの心は自然と穏やかに凪いで、温かな気持ちに包まれる。
 静かに聞いている面々も、微笑ましいものを感じたのか、薄く笑っている。


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