過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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846: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/08(火) 14:01:14.63 ID:36P3Vv2Ko
「あっ、そういえばこの前みてた魚介のパスタあったよね?」

「レシピで?」

「そうそう、あれ今度食べてみたいな」

「でもあれ、イカかタコ入ってたような……」

「試しにね?」

「え、大丈夫なの?」

禁じられたりしていないだろうかと咲は思ったが、「ダメなのはユダヤの人だよ」とネリーは言った。

「イエスさんが新しく交わした契約でモーセさんの契約は旧いものになったっていうのがクリスチャンでは主流だからね。十戒は守るんだけど」

海や川にいるものの中で、ひれやうろこのないもの。ひづめが割れていなかったり、反すうしないもの。そのタブーは多くのクリスチャンには当てはまらないらしい。

「大斎があったからかな? 魚肉がダメな期間があるから地中海のほうじゃむしろタコやイカの料理も盛んらしいよ」

「地中海……」

「こっち、ええっとネリーのとこには関係ないんだけどね」

「へええ。じゃあ今度試しにつくってみるね」

少し新鮮味が感じられた談義に花を咲かせていると、机のうえに筆記用具やなんやが出そろい、用意が整う。

それから手紙を書く手伝いがはじまった。ネリーが原稿を読み上げて、その内容を漢字を含む文章に咲が翻訳する。そして、四苦八苦してネリーが新たな便せんに書き直そうとする。噛み砕いて伝えようとした咲の努力の甲斐あってか、元々ネリーの漢字への理解が高かったのか、作業は遅々とするようなこともなく順調に進んだ。咲は机のうえに並べられている手紙を見比べた。筆を走らせるそれらの便せんは、可愛らしさとは無縁の無骨なもので飾り気に欠けている。咲にはそのように感じられた。

ふと、勤しむ彼女をながめる傍ら、とりとめのない思惟が咲の中に持ち上がる。文面から伝わる違和感。硬さやよそよそしさのようなものが感じられる。これは誰に宛てたものだろう。

頭語と結語はどうするかと尋ねた時、ネリーは『前略』と『草々』を選びとった。咲にもいまいち自信がなかったので日本郵便のサイトを参考にした。

前略と草々であいさつは省かれ、時候の言葉さえなく締めくくられる。それでいいのだろうか。咲にはちんぷんかんぷんだった。


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