過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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874: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/15(火) 23:37:39.61 ID:Y8k0m8hzo
智葉は、咲の手に乗った弁当箱の包みを一瞥すると、

「じゃあ、私は戻る。これから昼か? 時間をとらせて悪かったな」

「いえ……それじゃ失礼しますね」

短いやりとりを交わしてその場を立ち去る。悠然とした、本当の意味で洗練された足どり。映像やイメージに頼るある意味模倣しているともいえる咲には決して同じことはできないだろう。

そのことを意識したか意識しなかったかはわからないが、咲はその場で目を伏せて、うつむき加減になった口から吐息を漏らした。








部室に着くと、咲はいつも昼食をとっている部屋に向かう。休憩室のようなその部屋に入ると大きな机の上にだらんと上半身を倒したネリーがすぐ目に入った。

「あ、いらっしゃいサキー」

ネリーはそのままの姿勢で入口に顔が向いていたので咲の来室に気づき、気の抜けた声で出迎える。

彼女の手元、机の上には空になった弁当箱が置いてある。今日も残さず食べてくれたんだ。咲の口元に自然と笑みが浮かぶ。

入ってきて、机の周りに並べられた椅子の中から入口に一番近い席に咲は腰を下ろすと弁当箱を机に置く。まもなくして弁当箱を開いて昼食が始まった。

「五時限目ってなにー?」

「体育だったかな」

話を振ってきたネリーに、弁当をつつく合間を縫って返す。

愛想は良くなく悪くもなく。見ようによっては若干素っ気ないようにも見える、いつもの調子で咲は喋る。

「へぇ体育。何するの?」

「うーん、バレーボール……だったような」

「ははっ、あやふやだね」

さして興味がないから、曖昧な記憶なのだろう。上半身を横倒しにして、顔も咲に向かって寝返りを打ったような態勢のまま会話を重ねるネリーが笑う。

「そうだね、適当」

愛想笑い程度に咲も笑う。話の流れに合わせた。

「なんだ、バスケなら出てもよかったのになー」

「ネリーちゃん、得意なの?」

「こうみえても、中学の六年でたびたびバスケ部の助っ人を務めたのだよ」

「えへん」と声に出しながら誇らしげに胸を張るネリー。色々と、興味を惹かれる発言だ。

「そうなの? ちょっと意外かも……あと中学の六年?」

「うん? えーと、ネリーのとこは、日本でいう小学校が三年、中学校が六年……って言い方でいいのかな。その九年がギムキョウイクなの」

初等教育が三年、中等教育が六年……という解釈でいいのだろうか。高校からはどうなるのかとネリーに尋ねてみると『前期中等教育が六年』という風な答えだったので、中等教育に中期か後期があるのだろうと思った。


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