過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」
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875: ◆JzBFpWM762[saga]
2015/12/15(火) 23:38:32.35 ID:Y8k0m8hzo
「へええ」

「あ、その相づちはけっこう興味ありげなときのあれだね?」

ネリーが得意そうにほくそ笑む。寝返りを打ったような態勢でそうすると間抜けた印象があって面白いな、と若干失礼な感想を咲は悪意なく抱く。

「うん、バスケの話も意外。その、馬鹿にするわけじゃないけどバスケって、背の高い人が強い気がして」

宙高く舞い上がったボールを大木のような大男たちが我先にと跳躍して手を伸ばしたり、それか、もっと単純にダンクシュートを決めたり。咲の中でバスケとはそういうイメージが強かった。

「ふふーん、サキはまだまだだねー」

しかしネリーはともすると侮る発言にも気にかけず、得意そうに言うと、やる気を見せるように机に預けていた上半身をがばっと起こして、

「ネリーには、これがあるから」

架空のボールを支えるような恰好をして、おそらくはバスケのシュートポーズをとる。まだわからない。どういうことだろう。

「ええ……?」

「えー、まだわかんない? スリーポイント、スリーポイントだよ」

わざとらしく機嫌を損ねたように眉をひそめて、一回、二回と実際にシュートするようにネリーが手を動かす。バスケの経験など中学の授業くらいでしかなかった咲にもそこまで言われれば、ある程度理解が広がってくる。

「ああ、そういうのあった気がする」

「わかった? ネリーみたく背が控えめだとたしかに不利なとこはいっぱいあるけど、これがあれば」

そこで言葉を区切って、ネリーは足の裏を椅子に乗せてその場で勢いよく立ち上がると、

「これは――――ネリーの翼だよ」

シュートの姿勢をとって、そのまま流れるように綺麗な動作で手の中にある架空のボールを放つポーズをとる。

「わあ……とっても上手そうに見えるよ」

「上手そう、じゃなくて上手いの! ドリブルだってお手のものなんだから」

「そうなの? 見てみたいな」

「今度みせてあげるっ!」

疑るでもなく本心から咲がそう言っているのを見てとったのか、すっかりネリーは機嫌をよくして、天真爛漫な笑顔を惜しげなく振りまいていた。その微笑ましい姿に咲もつられて笑みを浮かべる。

昨晩の別れ際、おかしな雰囲気で別れることになって、朝一緒に登校したときにはもうしこりを感じさせないやりとりができていたが、ここにきて改めてすとんと安堵の思いが胸に落ちる。

昨晩のあれは何か理由があったのだろう。でも、こうしていつも通りいられるなら大丈夫なはず。自分の中で密かに折り合いをつけて、忘れた頃に弁当をつまんでいくと、



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